【フェブラリーS・後記】7連勝でGI制覇 インティはどこまで強くなるのか

2019年02月18日 21時34分

絶妙のペースで逃げ切った武豊=インティ(右)

 砂の王者を決める第36回フェブラリーS(17日=東京ダート1600メートル)は、武豊が騎乗した1番人気のインティ(牡5・野中)が逃げ切り勝ち。“菜七子”フィーバーをよそに大先輩のレジェンドが貫禄を示したと同時に、同馬は未勝利Vから破竹の7連勝で一気にGIタイトルを手中にした。果たしてこの先どこまで強くなるのか。同馬の可能性を検証する。

 好発を決めて、芝とダートの切れ目を過ぎたあたりでじんわりとハナに立った武豊=インティのコンビ。レース前のパドックで唯一、野中調教師と話した内容が「(前半の3ハロンを)35秒台に抑えるように」と鞍上はレース後に明かしたが、狙い通りに35秒8でクリアすると、直線で二枚腰を利かせて一気に逃げ込み態勢に入る。最後は一昨年の覇者で昨年2着のゴールドドリームが猛然と詰め寄ったものの、クビ差でしのいでゴール。昨年の最優秀ダート馬ルヴァンスレーヴ不在ながら、3着以下には4馬身差をつけたことは、ダート界におけるトップクラスの力量を十二分に見せつけたと言っていい。

「ポジションをどこにするかが(作戦として)一番大きかったが、内のサクセスエナジーの出方を見て決めようと考えていた。2番手での競馬が自分の頭の中では大きかったけど、すぐに切り替えた」と武豊。コンビを組んで5戦目。「昨夏に初めて乗って“いい馬だな”とは思ったが、数か月後にフェブラリーSを勝つとはその時に思いもしなかった。乗るたびに良くなっているし、まだキャリアも浅い。一級品の能力を持った馬」とその成長力に目を見張った。

「直線で手前を替えず、ずっと左手前で走っていたので、ゴールドドリームが来た時はしんどいかと思ったけど、頑張ってくれた。体質が弱くて思うように(レースに)使えない馬だったのでホッとしています。本当にすごい。レースも粗削りで、まだまだやれることが山積みなのも逆にこの馬の面白いところ」とは開業12年目でこちらもJRA・GI初制覇となった野中調教師。未勝利勝ち時は両後脚を落鉄し、レース後はクモズレ(球節の下部にできる円形のむくれ傷)で歩けなくなるほど体質が弱かったそうだが「自分だけでなく担当者や獣医師、いろいろと工夫をしてくれた装蹄師とチームで取ったGIです」と胸を張った。

 体質の弱さを考慮して3月のGIドバイワールドCの登録は行っておらず、春は国内に専念する。ただし、今回の勝利で米GIブリーダーズCクラシック(11月2日=サンタアニタパーク競馬場・ダート2000メートル)への優先出走権を獲得した。同師は「せっかく頂いたチャンス。これからの成績次第で選択肢のひとつに」と夢を膨らませた。

 ルヴァンスレーヴがいなかっただけに現状は“暫定王者”の立場かもしれない。それでも、近い将来の直接対決であっさり凌駕する可能性すら秘める超新星が登場した。