【井崎亭】神田古書店街に2019年ダービーの答えがあった!

2019年01月02日 12時00分

井崎脩五郎氏

「そりゃホントか 井崎亭」の井崎脩五郎氏がお正月特別号にも登場——。すっかりおなじみになった特別長編エッセー“2018〜19年版”をお届けする。今回のお題は…「表六玉」。神田古書店街で見つけた小冊子が、19年日本ダービーの行方を予言しているそうだが、その謎解きは?

「2019年の中山金杯は、7枠で鉄板!」

 競馬風俗研究家の立川末広が、早くからそう言いまくっている。

 その理由というのが、じつに簡単。

 18年の中山金杯に、サインが出ていたというのだ。

「7枠に、ライネン(来年)の4文字が入っていたんですよ」

 それで、調べたら、確かに入っていた。

〈2018年・中山金杯〉
7枠ジョルジュサ「ン」ク
7枠マ「イ」「ネ」ルミ「ラ」ノ

「おまけに、この7枠両馬の頭文字をつなげると“マジ”ですからね。もう、マジで買ったほうがいいですよ」

 こんなんで、本当に7枠が連対された日にゃあ、たまらねえなあ。立川末広は年末年始の大酒でただでさえ大声になっているうえに、的中でタガがはずれて、大威張りするに決まってるもんなあ。

 そういえば先日、神田の古書店街で、興味深い小冊子を見つけた。『表六玉(ひょうろくだま)通信』と銘打った、全部で20ページの、ごくごく薄い冊子。

 中身はというと、旅行作家・鎌田六郎さんと、料理評論家・玉崎進さんの対談なのである。

 おそらく、おふたりの名前のなかにある“六”と“玉”から、表六玉通信というタイトルになったのではないかと思う。

 今はもう、あまり使われなくなった言葉だが、昔は、落語や舞台で、表六玉は相手をバカにする言葉としてよく使われた。広辞苑にも、「表六玉=愚鈍な人をののしっていう語。まぬけ」と出ている。

 この「表六玉通信」は、ふだんから仲のいい鎌田さんと玉崎さんが、われわれ表六玉ふたりで、対談でもしましょうかと、気楽に作った、いわゆる自家本ではないかと思う。

 奥付に「昭和38年3月8日発行」とあるから、今から半世紀以上も前の冊子である。古書店の店頭で、たったの50円で売られていた。

 パラパラッとめくったら、競馬のふた文字が見えたので、すぐ買った。近くの喫茶店で読み始めたら、これがすこぶる面白いのだ。

 

 鎌田:競馬場で見ていると、あなたはほとんどケントク買いですね。

 玉崎:そうですね。まともに考えてハズれるとがっかりしますが、ケントク買いだと、まあこんなものだろうと、すぐ諦めがつきますからね。

 鎌田:去年の菊花賞のときは、お見事でしたね。美空ひばりと小林旭が結婚して、幸せそうだというんで、頭文字が、ヒ・バ・リという馬を買ってたじゃないですか。

 玉崎:そうそう。ヒロキミ、バッキンガム、リユウフオーレルね。

 鎌田:そうしたら、ヒロキミが勝って、2着がリユウフオーレルで。大穴でした(単勝2640円、枠単1万1680円)。

 玉崎:ああいうことがたまにあるから、ケントク買いはやめられないんですよ。

 鎌田:今年は何か狙ってますか。

 玉崎:ええ。来年が五輪ですからね。“五”の前は“四”だろうということで、日本ダービーは4番に入る馬を買うことに決めています。

 鎌田:そりゃあ、いいや(笑い)。

 

 おふたりが、お酒でも飲みながら話している様子が浮かんでくるようだが、なんとこの日本ダービーの予想、的中してしまうのである。

 この小冊子が発行された昭和38年に、日本ダービーでゼッケン4番をつけていたのは、単勝オッズ1・8倍という断然の1番人気になっていたメイズイ。

 このメイズイが好スタートを切って先頭に立ち、そのまま後続を7馬身もぶっち切ってレコード勝ちをおさめるのである。

 日本ダービーで、最初に2分30秒の壁を破る馬はと言われていた時代に、一気に2分28秒7にまでレコードタイムを持っていったのだから、まさに快走だった。さぞかし、玉崎さんは快哉を叫んでいたのではないだろうか。

 この伝でいくと、2019年の日本ダービーも、五輪の一年前ということで“四”が買い目ということか。4番か4枠。これで当たったらラッキーだなあ。

(席亭・井崎脩五郎)