【朝日杯FS】紅一点グランアレグリア 38年ぶりの快挙へ「若き女傑」の野望とは

2018年12月12日 21時33分

紅一点で挑むグランアレグリア

 フィギュアスケート界に「新女王」紀平梨花が誕生したのに続き、今度は競馬界に「若き女傑」が爆誕しようとしている。第70回朝日杯フューチュリティS(16日=阪神芝外1600メートル)に紅一点で挑むグランアレグリアだ。圧倒的な脚の回転力と競馬を自らつくれる表現力で、高パフォーマンスを連発する才女を止めるすべはもはやなし。育て上げてきた藤沢和雄調教師(67)の視線は早くも来春に向いている。

 グランアレグリアの朝日杯FS参戦が発表された時、違和感を覚えたファンは少なかったのではないか。1分33秒6という驚異的な時計で走破した新馬戦に、牡馬を一蹴したサウジアラビアRC。デビュー2戦で誇示した圧倒的なパフォーマンスの前には、最高峰の舞台であっても匹敵し得る牡馬がいない状況に見えるからだ。

 まずはここに参戦する経緯について、藤沢和調教師に改めて語ってもらうことにしよう。

「(気性的に)難しいところのあった馬だからね。(前週の阪神JFだと主戦の)ルメールが香港に行くこともあって、この朝日杯FSを使うことに。牡馬相手といっても、普段からキュウ舎の牡馬と一緒に調教ができているから全然、問題ない。距離は1600メートルだし、ましてやこの早い時期。例えば(牝馬が)ダービーに挑戦するのとは意味合いがまったく違うよね」

 淡々と話すトレーナーに、セオリーや常識を打ち破る挑戦を前にした高揚感はどこにも見られない。それはグランアレグリアのポテンシャル、完成度の高さに対する絶対的な信頼感からくるものなのだろう。

「もともと前向きさのある馬ではあったけど、時間をかけて2か月(厩舎で)乗り込んでから競馬に下ろした。それにしても新馬の時点であの時計で走るんだからな。心肺機能がとにかく高い」

 続くサウジアラビアRCでは行きたがる面も見せてはいたが…。

「夏を越して気性はむしろ穏やかになっていたんだ。前回はたまたま3日間開催の時でタイミング良く調整できなかった部分もあって…。それを考えれば上手に走っていた。その後は(ノーザンファーム)天栄に放牧に出し、さらに穏やかになって帰ってきた。現時点での完成度も高い馬だけどね。仕上がり早の早熟タイプでもないんだよ」

 トレーナーが何度も「穏やかになった」と口にしたのは気性面の成長を意味する。1週前追い切り(5日=美浦南ポリトラック)で先行した僚馬を早々とかわしてしまうシーンを振り返りながら、こう解説してくれた。

「フットワークが大きくて、スピードが違うから行きたがっているように見えるだけ。決してかかっているわけではなく、あの馬にとってはキャンターのような楽な感じなんだ。本当に穏やかになっているから(操作性に関しても)全く心配していない」

 客観的には懸念材料に映ったひとコマも、むしろ資質の違いと言わんばかり。だとすると眼前の朝日杯FSは、もはや単なる通過点…。決して簡単ではないミッションも容易に思えてしまうのは、一昨年にソウルスターリング(阪神JF)とサトノアレス(朝日杯FS)で2歳JRA・GI完全制覇(ちなみにレイデオロでホープフルS=当時はGⅡ=も制覇)を果たした名伯楽の圧倒的な実績ゆえか。

「ソウルスターリングに比べて癖がないし、調整の面では本当に楽。もともと優等生で牧場での期待も大きかったけど、本当に素晴らしい馬ですよ。最初からあんな時計で走ってくれて、ローテや輸送も問題ない。もちろん先々、距離が延びても大丈夫だと思っている。この後はそこに向けて、やっていくだけですね」と視線の先はすでに来春のクラシックに向いている。

 2馬身退けたダノンファンタジーが先週の阪神JFを制したことで、デビュー戦は時計だけでなく、対戦比較上の価値も格段に増した。まずは牡馬を含めた2歳世代の頂点の座を不動のものとし、来春さらに大きく羽ばたく土台を築き上げる――。