【朝日杯FS】今が“最盛期”ケイデンスコール「ストライドの伸び明らかに変わった」

2018年12月12日 21時32分

テッペン目指してほえるケイデンスコール

【朝日杯FS(日曜=16日、阪神芝外1600メートル)POGマル秘週報】先月21日、社台スタリオンステーションが2019年のシーズンラインアップと種付け料を発表した。2週間以上も前のニュースとはいえ、この手の話に敏感なトレセンの住人たちの喧騒は終わる気配がない。POGの看板を掲げる当コラムでも、いつかは掘り下げなくてはならないと考えていた事案だけに、ここでスポットを当ててみたい。

 オルフェーヴルが600万円から400万円と評価を落としたのに対し、昨年の800万円から倍近い1500万円に種付け料が大幅アップ。次代のリーディングサイアーの座をほぼ確定させた種牡馬ロードカナロアの本質に迫ることは、実は朝日杯FSに出走する、あの馬たちにも関わる話でもある。

 というわけで、ロードカナロアが在籍していた安田隆行厩舎を訪問して答えを探してきた。すでに抹消された馬も含め、25頭ものロードカナロア産駒が在籍(あくまで現時点)する「カナロア王国」。経験と知識は、どこよりも豊富だ。ちなみに、朝日杯FSに出走するケイデンスコールもロードカナロア産駒だが、実は重賞初制覇を果たした一戦は取材の感触と結果がリンクしなかった。この確認も兼ねての訪問なのを追記しておきたい。

「新潟2歳Sのときは確かに強気な発言はしませんでした。心身ともに頼りなさを感じていて、本当に走るのかどうか確信を持てなかったし、何より夏に無理をする必要はないんじゃないか、と。それが本音でしたから」と当時を振り返りながら先のテーマについて語ってくれたのは安田助手。その発言の裏には〝ロードカナロアは暑さに弱かった〟事実がある。これは一年という長いスパンで応用できる話。非常に重要な事案なので、もう一度だけ繰り返す。ロードカナロアは父子ともに〝暑さに弱い〟のだ。

「(初秋の)セントウルSを使うときは常に状態がひと息。スプリンターズSのころに、ちょっと良くなってきたかな。で、年末になると状態がグーンと上向く。それがロードカナロアの毎度のパターンで、香港(スプリント)で強い勝ち方ができた理由でもあるんです。例えば5歳のときのスプリンターズSは勝負どころでモタついているじゃないですか。あれ、状態が上がり切らなかったからなんです」

 わずか2世代。サンプル数が少なく、正確な数字として表せないのが残念だが、安田助手の「少なくとも、ウチのカナロア産駒は夏場に状態を落とした馬が多かった。こんなところも遺伝するんだなと思いましたから。厩舎の代表馬で言えば、京阪杯を勝ったダノンスマッシュ。北海道に連れて行ったことで多少はマシでしたし、結果も出ているように見えますけど、それでも現在のほうが状態は明らかにいいんですよ」という話を聞けば、あるシーンを思い出すファンもいるのでは。ロードカナロアの代表産駒アーモンドアイが秋華賞の直後に熱中症のような症状を見せたことを。

 さらに言えば、アーモンドアイの唯一の敗戦も夏の新潟の新馬戦(2着)。その敗因もまた暑さが関係していたとするならば…。冬の到来とともに、産駒がこれまで以上に爆走する可能性は相当に高そうだ。

「もちろん、暑い新潟で勝ったケイデンスコールも、あのときとは感触がまるで違います。“本当に走るの?”から“やっぱり走る馬だったんだな”と。ストライドの伸びが明らかに変わっているんです」と語る安田助手が気にしていたのは牝馬のグランアレグリアでもなく、デビュー戦で負けているアドマイヤマーズでもない。同じロードカナロア産駒で夏の2歳重賞を勝っているファンタジストだった。

「僕らも血統って気になるんですよ。で、カナロアの子で夏に勝っているのか。そういえば、この前(京王杯2歳S)も、あっさりと勝ったよな。そんなことを考えるとねえ…。ちょっと怖いなって思ってしまう」

 ケイデンスコールとファンタジストが朝日杯FSで叩き合うような結果になった場合、さらにはホープフルSをサートゥルナーリアが完勝してしまった場合、果たして2020年のロードカナロアの種付け料は、どうなってしまうのか? 自分とは、まるで関係のない心配をしてしまう寒い冬の一日なのであった。