【札幌記念・後記】サングレーザー秋のGI戦線に浮上 福永が「距離が延びたほうがいい」を証明

2018年08月20日 21時04分

上位3頭同タイムの激戦。内から抜けたサングレーザー(奥)がマカヒキを封じた

 GI馬3頭を中心に好メンバーが揃った19日のGII札幌記念(札幌芝2000メートル)は、サングレーザー(牡4・浅見)が2着マカヒキとのハナ差の大接戦を制した。これまでマイル路線を歩んできた同馬にとって、新境地を開く輝かしい一戦となった。秋のGI戦線に直結しそうな激闘の舞台裏をリポートする。

 わずかハナ差、されど大きなハナ差の勝利だろう。なぜならマイル路線を歩み続けたサングレーザーにとって、札幌記念は実りの秋につなげる決意の挑戦だったからだ。

「距離が延びたほうがいいんじゃないか、という提案が福永さんや厩舎サイドからずっとありました」(吉田正志G1レーシング代表)

 主戦・福永はその方向性において“一発回答”の騎乗をした。5ハロン通過は59秒1。逃げたマルターズアポジーが刻んだラップは、稍重馬場を思えばかなりのハイペース。マカヒキ、モズカッチャンのGI馬2頭が後方で控える流れの中、中団7番手の正攻法で立ち向かったのが決意の証しだ。

「距離が持たなかったらそれまで、という競馬をしようと思っていた」と福永。それでも勝負どころから試練が続く。「どうさばくかずっと考えていたが、なかなか突破口が見えなかった」。4角を回ってからも馬群の中で動くに動けず。ようやく進路を見つけたのはマカヒキが外から先頭に躍り出たラスト1ハロン標過ぎだった。

「スパッと抜けてくるのではなく、グーンと行くタイプだが、最後はよくひるまずに突っ込んでくれた」と鞍上はパートナーをたたえたが、短距離で磨いてきた瞬発力が、中距離でのメモリアルVに思わぬ副産物となった。サングレーザー自身、3つ目のGII制覇でも、その意味合いはもちろん、過去とは大きく違う。

「これまでハミに頼っていたが、馬体が成長したことで走るフォームが変わった。やる気に満ちてオーラも出てきたし、強い相手にきっちり勝ったことで選択肢が広がった」(福永)

 2016年の札幌記念2着を機にモーリスが中距離路線で新境地を開いたことは記憶に新しいが、今年の優勝馬も自身の可能性において大きな足跡を残したのは確か。次走は未定ながら「もちろん天皇賞・秋(10月28日=東京芝2000メートル)も含めてGIを目指していく」と吉田代表。強い4歳世代にまた一頭、新たなスター候補が誕生した。