武英智調教師「乗ると見るの差をどんどんなくしていきたい」

2018年08月03日 21時00分

満面の笑みで写真に納まる武英智調教師(右)と稲富

【稲富菜穂のだいじょばない特別編】どうも、稲富菜穂です。夏恒例企画第2弾「この世界で確実に(仮)」のゲストは武英智先生(37)。厩舎の中にはお祝いの熨斗(のし)がずらーりっ。人柄の良さがものすごく伝わるステキな空間でインタビューさせてもらいました。さっそくですが、調教師免許取得から、これまでの流れを振り返っていただけますか。

「う~ん、最初はバタバタしてたんですけど、ようやく落ち着いてきたかなぁ。大手の牧場さんとか、アイルランドやイギリス、さらには香港、韓国へも厩舎研修に行かせていただきましたから」

 WAO! 次々に言葉や環境の違う場所に身を置くその行動力、尊敬します。そんな先生がこだわっているものは?

「んー、カイバとかですかね。馬に乗ることしかしてこなかったから、そっちの面が一番弱くて…。調教師を目指し始めてから勉強をずーっとしてきて、常に最新の情報を取り入れてやっていこうと。まだ手探りではあるんですが、いろいろとやってみたいことをやっているというか、こだわりはありますね」

 逆に騎手時代の経験が生きることもあるかと。

「騎手は乗ることでその馬の状態を把握するわけですが、調教師は見て分からないといけないでしょ。だから意識的に馬に乗らない時間をつくっています。見て感じたものを頭に思い描いてから、1~2週に1回とかピンポイントで乗って、騎手の時の感覚と今の見ている感覚がマッチするかを確かめていって…。騎手をやっていたからこそ分かることもあるし、“乗る”と“見る”の差をどんどんなくしていきたいですね」

 なるほどすぎる。ヘドバンしてんのか!ってほど、うなずき続けてしまいました。調教師としての初勝利は5月(12日)。ちょっと時間はかかりました。

「同期が早くに勝っていましたから。自分自身は焦ってはいなかったんですけど、周りから〝焦るなよ〟って言われて、それに焦るみたいな…」

 なんとなく分かります(笑い)。やっぱり騎手時代とは違う感覚なんですか?

「騎手の時は訳分からず勝ったという感じでしたが、もうこの世界も長いですし、僕一人ではなく、スタッフとみんなで得た勝利の味はまた違った。冷静に喜びをかみしめることができた感じかな。騎手の時は苦しい時も一人だったけど、今はスタッフがいてくれるので心強いですね」

 厩舎のテーマに掲げているものは?

「馬にとって居心地のいい環境をつくるには、人にとっての環境も良くないとダメだって気持ちが昔から根幹にあります。だから一番に心掛けてもらっているのは“仕事の時は仕事して、休む時は休む”。他に比べるとウチは休みが多いと思います。半休とかも1週間単位でみんな取っているし、昼からはスタッフも半分くらいしか出てこないし、攻め専(の助手)も木曜とか乗る馬が少ない時は有休を取ってもらって。その代わり仕事の時はビシッとやってもらう。人数が少なくなっても、仕事の質は変わらないように。これはずっと続けていきたいなぁ」

 私、武英智厩舎で働きたいですっ!(無理や)。オンオフの切り替えがしやすい環境ってステキすぎるぜ。では最後に勝ちたいレースや目標を。

「日本ダービーとか、海外では凱旋門賞とか、大きいレースはいろいろありますが…。初心を忘れずに、変わらぬ気持ちでやっていくことを目標にしていきたいと思っています。騎手の時は感謝の気持ちが薄れていた時もあって…。僕も大人になったんでしょうね。今は感謝の気持ちを常に持っていなきゃあかんなと思っています」

 終始キラキラした目に吸い込まれそうでドキドキしたなぁ…! きっと一歩一歩、確実にステップアップしていける方なんだと思います!

☆いなとみ・なほ=1990年12月16日生まれ。関西在住のタレントとして幅広く活躍し、現在はKBS京都の「競馬展望プラス」、ABC「おはよう朝日です」に出演中。彼女が取材した馬が激走することが多いことから、一部のトレセン関係者から「競馬界の女神」と呼ばれている。