藤田菜七子が“葛藤”激白「女性だからではなく強くなって注目されたい」

2018年08月02日 21時38分

菜七子が思い描く未来とは…

 JRA唯一の女性ジョッキー・藤田菜七子(20=美浦・根本厩舎)が9日、21歳の誕生日を迎える。6月にはGI騎乗条件を満たす通算31勝を達成。周囲からの期待が日ごとに高まる中、本紙は独占インタビューを敢行。デビューからこれまで異常なほど注目を浴びる中で経験した戸惑いと不安、さらに自身が思い描く未来を激白した。

 ――9日に21歳になります。この1年間は非常に内容が濃かったのでは

 菜七子:毎週のように追い切りをして、土日は競馬という中で過ごしていると、あっという間に月日が過ぎます。子供のころに今の自分は全く想像できなかったですね。

 ――6月17日に通算31勝を達成。GI騎乗が可能となりましたが

 菜七子:今まで乗せてもらったすべての馬に感謝です。いつGIに乗せていただくことになっても、自信を持って乗れるように普段から考えています。

 ――そういえば、31勝目を挙げてカメラマンに手で「3」「1」のポーズを要求されたとき、拒否していましたね

 菜七子:アハハハ、そうでしたね。まあ、31勝は通過点ですし…。毎回ああいう要求されるのですが、ちょっと嫌だったので(笑い)。デビューしたころは言われるがままにやっていましたが、たまには断ってもいいのかなあと思って。

 ――デビューから注目され、その状況とどう向き合ってきたか

 菜七子:今でも注目されることは得意じゃないですね(笑い)。何の成績も残していないのに、ただただ「女性だから」という理由で注目されて…。一緒にデビューした同期の方が勝っているのにって気持ちでしたね。なんで私が? これでいいのかな?っていう「不安」と「悔しさ」がずっとありました。

 ――ただ、注目される宿命を受け入れ、それをプラスに変える力が菜七子さんにはあると思う

 菜七子:デビューしたころは、そういうふうに(嫌だと)思っていたんですけど、少しずつ注目される立場を受け入れ、たくさんの人に競馬を知ってもらえるキッカケになればいいなって思えるようになりました。いずれは女性だから…ではなく、強くなって注目されたいです。

 ――デビュー前から「夢はダービー制覇」と大きなものを掲げましたね

 菜七子:私は「夢」と「目標」は分けて考えています。夢は大きく持ち、目標は近いところに設定して次の1勝。地道に目標を積み重ねた結果としてGIに乗せていただければありがたいし、その先の夢にたどり着ければいいなと思っています。

 ――以前、落馬した際に自分の体より馬を心配した行動がユーチューブで感動を呼んでいます(※後述参照)。私もウルッときました

 菜七子:ハハハ、そうですか(笑い)。周りの方にも言われました。いまだに自分が乗っている馬が故障したことがなく、あんなふうになったのは初めてだったので、どうしたらいいか分からなくて…。ただ、あの後に周りの人から「ああなると馬は何するか分からないから危ないよ」って言われました。でも、そのときは馬が大丈夫かなって、とにかく必死でした。

 ――レースでは明らかにトレーニングの効果が表れていると思う

 菜七子:まだまだですが、実際に良くなった感触は多少あります。去年1月にトレーナーをつけ、下半身のトレーニングを行い、少しずつ騎坐(馬にまたがった時の脚部)や追う姿勢が変わってきていると思います。もっと改善しないといけないので、意識してやっています。

 ――最後に言葉の感覚ですが…。菜七子さんは「負けたくない」と「勝ちたい」のどちらの気持ちが強いですか

 菜七子:私は「勝ちたい」ですかね。10回乗って1回も勝てないような世界ですが、その中でも1つでも多く「勝ちたい」と思っています。

※ユーチューブの感動シーン=昨年10月15日の東京6R(3歳500万下、ダート1600メートル)で菜七子騎乗のルクレツィアが10着入線後、不良馬場に脚元を滑らせて前のめりに倒れるアクシデントが起こった。自らも落馬した菜七子だが、立ち上がれない騎乗馬にすぐ駆け寄って首をさすりながら介抱する姿がファンに感動を呼んだ。幸い、人馬ともに無事だった。