【安田記念】ダービージョッキー福永「サングレーザーの勝算」激白

2018年05月30日 21時35分

ノリに乗る福永が、今度は愛馬のビッグタイトル奪取を決める!!

【安田記念(日曜=6月3日、東京芝1600メートル)童顔のオッサン記者・江川が直撃】ワグネリアンを神騎乗でVゴールに導き、「ダービージョッキー」の称号をついに手に入れた福永祐一(41)は今、「最も乗れてる男」と評しても異論はあるまい。第68回安田記念で騎乗するサングレーザーは、偉大な父ディープインパクトを追いかける若き才器。まさにかつての福永とイメージが重なる。果たして“超良血タッグ”が秘める可能性とは!?

“ダービージョッキー”福永祐一誕生のほんの少し前のことだ。競馬場にヤジはつきものとはいえ、いまだに…と思わずにはいられない痛烈なヤジを浴びたという。

「パドックで“親の七光!”って言われてね。一応、ボクは2000勝してるのに…。そもそも“七光って何十年、効果あんねん!”って…。自分でも笑けてきましたよ」

 これが「2世」のつらさ。父親の名が偉大過ぎると、単に数字で追い抜くだけでは世間は「父を超えた」と見なさないのか、それとも絶頂期にターフを去った喪失感がそうさせるのか…。

 天才ジョッキーと呼ばれた父・福永洋一はJRA通算983勝を挙げ、GI級9勝、重賞49勝。1970~78年に9年連続で全国リーディングに輝いたが、79年3月の落馬事故で重度の脳挫傷を負い、引退を余儀なくされた。

 一方、「2世」福永祐一はGI・21勝、重賞128勝、武豊に次ぐ史上2番目のスピードで通算2000勝達成という「父超え」の実績を挙げながらも、口さがないファンから“コネナガ”呼ばわりされる現実がある。それは福永家の悲願だったダービーを制した後でも、一変することはないのかも…。

「ナメるなって思いますけどね。ボクを、ではなく、この世界を。コネだけで勝てる甘い世界じゃないのに…。ホント、ボクのことを認めたくない人がいると思うしかないのかな」

 とかく叩かれやすい男だが、心ない暴言に時にやるせない表情を見せつつも、流せる懐の深さもまた一流である。

 一方、競走馬の世界で“偉大な父親”といえば、6年連続リーディングサイアーのディープインパクトで異論はなかろう。来月2日にはサクソンウォリアーが英ダービーへV候補筆頭として臨むなど、最強種牡馬の地位を確立している。

 そんなディープ産駒に過去1年で最も多く乗っているジョッキーが福永だ。しかも、勝率はM・デムーロに次ぐ第2位(20戦以上が対象)。安田記念では前哨戦のマイラーズCでレコード走を決めたディープ産駒サングレーザーに騎乗するとなれば、今週も注目しないわけにはいかない。

「ディープインパクト自身は割と小さな馬でしたが、ディープ産駒の男馬は馬体重があってガッチリしている方が走るイメージ。そもそも緩い馬は少ない。ただ、サングレーザーは以前は緩かった。スタートも良くなかったし、道中でいいポジションが取れなくて…」

 と、ここまでは決していい話ではない。しかし、これはあくまでも「以前」のこと。4歳になった今は一変し、これまでのディープ産駒にはあまり見られない成長曲線を描いているという。

「ディープ産駒は最初から走るし、どちらかというと成長度があまりないのが一般的。でも、この馬は違う。4歳になって体が完成しつつあるんです。ディープ産駒としては珍しいタイプですよ。ヒョロヒョロやった馬が筋肉がついてガッチリしてきた感じ。成長とともに緩かった体質がしっかりして、道中の走り方、頭の位置も変わった。それで切れる脚を使えるようになったんだよね」

 マイラーズCで記録した1分31秒3、上がり33秒2はまさに“彗星”のよう。にもかかわらず、福永は「次はもっと良くなるし、ピークはさらに先にある」と言ってのける。

 もはやその実力は疑いなし。多くのファンの最大の関心は、現状の前有利の高速馬場で、サングレーザーの決定力を生かし切れるか。ここに尽きるだろう。果たして理論派ダービージョッキーの青写真は?

「どの馬が行くかを考えると、ペースは遅くなりそうやね。ロゴタイプが逃げ切った2年前もスローやったし…。そうなるとやっぱり後方組はしんどくなる。まあ、中団くらいにはつけないと…」

 そう思案した後に、こう言葉を続けた。

「ただスローでも外をブン回せばグーンって伸びるんじゃないかな。いいところは切れる脚なんだけど、それでいて結構、長い脚が使える馬でもあるからね」

 ダービーで「偉大な父超え」をこれ以上ないハッキリとした形で示した福永が、サングレーザーに、偉大な父ディープに一歩近づく最初のGIタイトルをプレゼント。そして、福永は新たなステージへと向かう。