元幕内大砂嵐 バーネットに弟子入りし9月「RIZIN」デビュー

2018年05月03日 11時00分

総合格闘技に転向する大砂嵐

 大相撲の元幕内大砂嵐(26=エジプト)が総合格闘技(MMA)挑戦を決断したことが1日までに分かった。格闘技イベント「RIZIN」9月30日のさいたまスーパーアリーナ大会でデビューする方針で、対戦相手には大物外国人選手が用意される模様だ。4月初旬から「寝技世界一」こと菊田早苗(46)率いる東京・中野のGRABAKAジムで練習を開始しており、1日には元UFC世界ヘビー級王者ジョシュ・バーネット(40)の指導を受けるため、米国修行へ旅立った。

 かねてRIZINからラブコールを送られていた大砂嵐がついに決断を下した。「ずっとスポーツをやってきたから、相撲を辞めてもスポーツをやりたいと思っていました。相撲の世界で一番になるのが夢だったけど、それはもうかなわなくなった。だからMMAの世界で一番を目指します」と決意を表明した。

 その思いは本物だ。MMA挑戦を決断するや、すぐに元ライトヘビー級キング・オブ・パンクラシストで、2001年には「寝技世界一」を決めるアブダビコンバットで日本人として初めて優勝した菊田に、知人を介して接触。4月初旬からはまったくの専門外だった寝技のトレーニングを中心にMMAの練習を開始した。

 実はこの時を見越して4月1日にTBS系で放送された「オールスター後夜祭」での「ガチ相撲トーナメント」で対戦し、勝利したバーネットに対してその場で弟子入りを直訴していた。熱意を感じ取った元UFC世界ヘビー級王者もこれを快諾。大砂嵐はこの日、日本を出発した。今後は現時点ですでに決まっている国内のスケジュールを除き、米国に滞在してバーネットの指導のもとMMAの特訓を積む。

 果敢な挑戦を後押ししたのは、これから生まれてくる子供への思いもあった。「実は、初めての子供が1か月後くらい(6月)に生まれる予定なんです。その子供に頑張っている姿を見せたい。できればチャンピオンになる姿をね」と大砂嵐は笑顔を見せた。

 大砂嵐は1月1日と同3日に長野県内で有効な運転免許証を持たずに乗用車を運転した。3日には追突事故も起こし、当時は「妻が運転していた」と説明。日本相撲協会の危機管理委員会の聴取でも一貫して自らの運転を否定してきた。だが、その後は警察の調べに対して自分が運転していた事実を認め、2月に道交法違反(無免許運転)で略式起訴された。

 警察と日本相撲協会の聴取で証言に食い違いがあったことが「引退勧告」という厳罰に拍車をかけた格好だが「悪いことをしたことは何回でも謝ります。これからはMMAでいいところだけを見せていきたい」と更生を誓った。さらには「日本相撲協会には感謝しています。いろんなことがあったけど、最後まで私を守ろうとしてくれました。それと、悪いことがあってもいいことがあっても、変わらず応援してくれたファンのみなさんにも感謝しています。その恩返しをしたかったから、日本で、RIZINで戦うことにしました」と泣かせる言葉で心境を語った。

 更生を誓い、新たな舞台での再出発を目指す大砂嵐。相撲界同様に、MMAの世界でも自慢の怪力でスピード出世を目指す。

◇菊田が太鼓判=約1か月にわたって大砂嵐を指導した「寝技世界一」の菊田は、その才能に太鼓判を押した。練習中には、重いパンチやキックで吹き飛ばされることが何度もあったという。「彼の動きはいわゆる『お相撲さん』とは全然違って、完全にアスリート。あの体で俊敏な動きができる。たとえば亀の姿勢(うつぶせの状態)からもすぐに立ち上がることができる。上を取られてもブリッジではね返してスタンドに戻すこともできる。(MMA)ファイターとして求められる身体能力を高いレベルで保持しています」と絶賛した。

 26歳という年齢もメリットになるという。「まだ若いからのびしろもある。とんでもない選手になる可能性を秘めてますよ」と菊田は断言。成功の条件として「やはりハート(勝負度胸)でしょう。最後はそれがものをいいますから。ハートがどれだけ強いかがカギになってくると思う」と分析した。

☆おおすなあらし=本名アブデラハム・アラー・エルディン・モハメッド・アハメッド・シャーラン。1992年2月10日、エジプト・ダカハレヤ出身。2011年8月に来日して大嶽部屋に入門。幕下だった13年5月場所で全勝優勝。7月場所に十両昇進、11月場所で新入幕を果たす。最高番付は前頭筆頭。18年1月に長野県内で道交法違反(無免許運転)のため2月に略式起訴されたことで引退勧告を受け、3月9日に引退届を提出した。初のアフリカ大陸出身で、初のイスラム教徒の力士としても世界的な注目を集めた。189センチ、160キロ。