格闘技イベント「RIZIN」でスターへの階段を上り始めた選手がいる。ライト級のハードヒッター・矢地祐介(27)だ。昨年12月29日の初参戦からマリオ・シスムンド(38=フィリピン)、ダロン・クルックシャンク(32=米国)と強豪を連続で1RKO。さらには7月30日のさいたま大会では同級の強豪・北岡悟(37)を2RTKOで撃破した。圧巻の強さと独自のキャラで注目を集めている男の素顔に迫った。

 3試合連続の衝撃的KO勝利で注目を集めた矢地だが、格闘技を始めたのは意外に遅く、きっかけも「挫折」だった。

 矢地:中学まで野球をやっていました。本当は高校も野球の有名校に進みたかったけどダメで、一気に熱が冷めて中3の夏にキックボクシングジムに入りました。格闘技も好きだったので。

 その後、山本“KID”徳郁(40)が主宰する「KILLER BEE」(現・KRAZY BEE)にジムを移し、専修大学法学部に通いながら練習に没頭した。

 矢地:高校は付属だったのでほとんど勉強しないで格闘技ばっかりしていましたね。大学は人脈を駆使して4年で卒業しました。ちゃんとしてるんですよ、そのへんは。

 文字通り「文武両道」させると2012年に修斗環太平洋ライト級王座を獲得。その後も勝利を重ね、RIZIN参戦につながった。

 矢地:話が来た時はうれしかった。今一番デカい大会だから。スターになってチヤホヤされるのが目標なんで、そのために有名選手を食って、1つずつ階段を上っていきたい。俺は有名一家の出身でもスーパー高校生でもないから、上に行くには有名な選手を倒すしかない。(対戦を希望する相手に)クロン(グレイシー)とか五味(隆典)さん、青木(真也)さんとかの名前を出すのもそれが理由です。

 そんな矢地には「裏テーマ」がある。それが北岡戦で前髪を気にし過ぎる原因にもなった。

 矢地:「格闘家っぽくないのに強い」っていうのが裏テーマなんですよ。それもあって今、髪の毛を伸ばしてるんです。ロンゲにして試合中は結びたい。だけどこないだ(北岡戦)はちょうど前髪が目に入るくらいになってて。でも切っちゃうとまた最初からやり直しになるから「15分だけガマンしよう」って思って試合しました。やっぱり前髪が気になっていろいろ言われましたけど…。

 強さとチャラさの両面を併せ持った矢地。勝利を積み重ねて、日本格闘技界を背負うスーパースターの座を目指す。