北京五輪柔道金メダルの石井慧(29)に“最後通告”が突き付けられた。石井は、昨年末に行われた新格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND―PRIX」で屈辱の96秒TKO負け。崖っ縁に追い込まれた金メダリストに、RIZINの榊原信行実行委員長(52)は“引退覚悟”を条件として「泣きの1回」にゴーサインを出す考えを明かした。

 RIZINの榊原委員長は今週、石井と面会。今後について話し合ったが、石井は「やらせてほしい」とRIZIN再出撃を訴えたという。「もちろん、われわれもその“泣きの1回”の舞台を用意する準備はある。ただし、きちんと準備し“負ければ即引退”くらいの不退転の覚悟で来てほしい。彼にはそれくらいの覚悟を持ってほしい」(榊原委員長)

 石井は昨年12月29日に行われたヘビー級(100キロ以下)トーナメントの1回戦で、イリー・プロハースカ(23=チェコ)になすすべなくTKO負け。日本中の格闘技ファンを失望させる結果になった。エメリヤーエンコ・ヒョードル(39)からも「石井さんはもっと練習しないといけない」などと激辛注文が飛び出たほどだ(本紙既報)。

 榊原委員長によれば、石井は2日後の大みそか大会に緊急出撃を直訴したというが、これは対戦相手の調整がつかずに実現せず。雪辱の舞台は持ち越しとなった。

 そこまで石井がリベンジを熱望するには理由があったという。29日の段階で石井のコンディションがベストではなかったのだ。大会に向けて順調に調整を続けてきたが、試合直前になって帯状疱疹を発症。そのため、石井サイドには“体調さえ万全ならば”という思いがあるわけだ。

 榊原委員長は「プロである以上、体調管理も…というのはあるが、最後のチャンスみたいな形で舞台を用意してあげたい」と話す。具体的には「まずはトーナメントでベスト4まで上がった中からプロハースカ以外の選手と。4月か7月には対戦させたい」(榊原委員長)。さらにそれをクリアすれば、屈辱の96秒負けを喫したプロハースカへのリベンジマッチの舞台が用意されることになりそうだ。

 石井はすでに雪辱に向け、意欲十分。日本での「泣きの1回」へコンディションを整えるべく、2月には海外で試合を行い、次回用意されるRIZINの舞台に牙を研ぐつもりだという。崖っ縁に立つ金メダリストはこのラストチャンスをものにできるか…。