新格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND―PRIX」(さいたまスーパーアリーナ)大みそか大会で行われた曙(46)VSボブ・サップ(41)の12年ぶりの再戦は、不完全燃焼に終わった。

 リマッチで採用されたルールはシュートボクシングルール。曙はK―1ルールでは反則だった組み付いての打撃で勝負に出る。ロープ際に押し込み、勝機が差し込むが、サップはガードの上から強烈な右フック。その瞬間、曙が左側頭部から流血しドクターチェックが入る。

 再開後、巻き返すべくラッシュをかけるが、さらに流血の度合いはひどくなり、2度目のチェック。1R終了間際も、サップが頭部狙いの右フック5連発をぶん回し、曙の頭部は見る見る血まみれに。

 2R開始前、3度目のドクターチェック。ファンの声をくむように試合は再開されたが、またもや右フックを食らい4度目の試合中断となった。

 ここで、ジャッジは試合再開は困難と判断。2R途中での判定が採用され「3―0」(3人のジャッジ全員が20―18)でサップが完封勝ちした。

 返り討ちを果たした野獣は「ビースト is BACK! アリガトウゴザイマス」と日本語であいさつし、会場に高笑いを響かせたが、ファンからはため息が漏れた。

 屈辱の連敗を喫した曙陣営は試合後、ミスジャッジとして抗議する意向を示した。曙の会見中にセコンドの1人が口を開き「明らかに後頭部を殴って、明らかに血が出るようにオープン気味に殴っていた。明らかにミスジャッジ。改めてVTRを見て申告しようと考えている」とコメントした。


【曙の話】
 自分は練習した通り攻めたと思う。前に押して潰して相手がバテたら出るって作戦だった。血が出るまで練習通りだと思った。(サップは)強かったが、今日は悔しい。KOされてないし、これで判定負けなのかなっていう複雑な気持ちもある。

 自分はやっているから、そのこと(サップの後頭部へのオープン気味のパンチ)は気にしなかった。血が出ていてセコンドがそう言っていたのは分かったが、何を言っているのかあまり分からなかった。(出血したのは)後頭部です。他の選手も控室であれ後頭部に当たってるからどうのこうのって。

(シュートボクシングのルールは)思ったよりも違っていました。一発目、押し込んでボディー打った時効いたのも分かった。体勢つくろうとしたらすぐブレークされて最初聞いてるのと違うなって…。でも多分一番合っていると思う。押し込んで、潰して、打つ。一番合っているルールだと思う。

【ボブ・サップの話】

 非常にいい気持ち。もちろん違う形でフィニッシュしたかった。お互い若くないしケガの可能性はある。でも、あれはTKOです。

(12年ぶりの曙は)以前よりガンガン前にきて、シェイプもされていた。パンチも強くなった。他の選手ならKOされてただろうが、それは俺にはなかったね。

(1R終了時のパンチが後頭部への攻撃としてイエローカードが出たことに、笑いながら)なぜか分からない。驚いた。曙は完全に頭をガクンと下げていた。本来はレフェリーが試合を止めるべきだ。

 もちろん3度目のチャンスをもらえたらまた(曙と)戦いたい。3度目も日本でやれればいい。