格闘技イベント「RIZIN.34」(20日、丸善インテックアリーナ大阪)で、杉浦軍の中村大介(41)が山本空良(21)に惜敗を喫した。

 UWFインターでも活躍した山本喧一の次男・空良と、田村潔司の下で格闘技を学んだUスタイルをこよなく愛する中村は、独特な世界観の戦いを展開した。スタンドの攻防で積極的に攻撃を繰り出す山本に対し、中村はノーガードで迫り一進一退。2ラウンド(R)中盤のグラウンドの攻防では、両者の上下が目まぐるしく入れ替わる〝回転体〟の攻防になる一幕もあった。その流れから中村が得意の腕十字にとらえたが、決まりが浅く山本に脱出された。

 3Rも終盤にヒザ蹴りが交錯して中村が尻もちをついてからグラウンドの攻防になり、今度は足関節の取り合いになる。これもともにフィニッシュとはならず、勝敗は判定に委ねられて山本に勝利が告げられた。

 回転体に足関節の取り合いと、令和に総合格闘技のリングでUの戦いを垣間見せた二人は試合後、笑顔で握手。山本は「正直勝った気はしていないです。判定で勝ったのでは、世界最強の夢はかなわないです。次は絶対に一本勝ちします!」と話した。

 敗れた中村は「若い選手に負けてしまったのが悔しいんですけど、それ以上に正直言うとビビってしまいました。彼はすごい強いです。昨日(計量で)顔を合わせた段階で『これは強い』と思って、昨日眠れなかったです。自分の弱さを昨日実感しました。本当に情けないというか、反省ですね。あとは内容がスイングしなかったのが反省です」と反省。

 解説を務めていた高田延彦キャプテンが試合を絶賛していたと聞くと「すごくうれしいです。もっと内容で沸かせたかったし、できると思うんですよね。もっとかみ合いたかったですね」と話した。

 それでも、20歳年下の若者に全く引けを取らない戦いを見せたとあって「全然引退する気はないです。お話をいただけるならまだやりたいし、若い選手におじさんが立ち向かっていくのを見てほしい。フェザー級、差はないと思っているので。自分もあきらめなければまだいけると思うので、まだまだ強くなりたいです。また頑張ります」と、混迷のフェザー級戦線の〝台風の目〟になることを誓っていた。