格闘技イベント「RIZIN.34」(20日、丸善インテックアリーナ大阪)で梅野源治(33)戦が決まった皇治(32)が、6月に控える〝キック界の神童〟那須川天心(23)とK―1のエース・武尊(30)のキック頂上決戦を徹底分析だ。両者と対戦経験がある〝キック界のドン・ファン〟は、格闘技史に残ること間違いなしの「世紀の一戦」をどう見るのか? 直撃した。

 皇治は昨年6月の大阪大会で梅野と対戦するも、皇治のバッティングによりノーコンテストとなっていた。3日の会見ではひょっとこのお面をかぶったり、梅野に「これをかぶってください」とキャッチャーマスクを差し出したり、とやりたい放題。5月も試合をするとした上で「キックはそれでやめて、次のことに挑もうかと思います」とキック卒業を宣言した。

 昨年大みそか決戦での敗戦から再始動する皇治は、2018年12月にK―1で武尊と、20年9月にRIZINで那須川と対戦した。ともに3ラウンドフルに攻撃を受けて判定負けしており、両者の強さを肌で感じた貴重な存在だ。

 その2人の頂上決戦を「あの2人のことはめちゃくちゃ嫌いですけど、応援していますよ。戦うことで立ち技界が変わるじゃないですか。俺も思い続けた『団体関係なくやりたい』っていうのが実現するので応援しています」。一方で試合展開については「試合自体はおもんない(面白くない)と思いますよ。天心君は〝競技〟をして、武尊は〝ケンカ〟をするから、かみ合わない」とまさかの〝塩試合〟と見た上でこう続ける。

「言い換えれば、この試合は〝かみ合わなさ〟を楽しむのがいいと思いますよ。人間同士もかみ合わないことばっかりじゃないですか。『ええなあ』と思う相手でも実際、かみ合わないことが多いじゃないですか。男と女と一緒ですよ。天心と武尊は。こういうのは相性っていうのがあるんです。この2人は相性が悪いんです」

 頂上決戦を男女関係に例えるあたり、さすがはドン・ファンだ。ただ、武尊は2月27日のエキシビション戦で軍司泰斗と対戦したが、相手の打撃を受ける場面もあり、一部からはスピードに不安ありと指摘された。

 だが皇治は「なんも問題ない」と言い切る。その理由を「武尊はケンカだからエキシビションは弱いんですよ。エキシとかスパーとか、誰とやってもあんな感じなんです。だけど、試合になったらガッチリやるのがアイツなんで」と断言。そして「って、なんで俺がアイツの肩、持たなあかんねん!」と吐き捨てた。

 勝敗については「俺と戦ったように戦ったら、天心君が勝つと思います。スピードと技術で翻弄したら天心君が有利」と予想。一方で「ただ、こんだけあおられて、こんだけ待ちに待ったカードで(那須川が)いつもと違う打ち合いとかしてしまったら、それは断然、武尊やと思うし」と武尊にも勝機ありとした。

 最後に「自分が言うことじゃないけど、勝ちが全てですから。俺もそこと格闘してますし、そこを目指して頑張っているんで。勝たないとダメだから。そういう意味では、天心有利じゃないですか」。かみ合わない2人の戦いからますます目が離せなくなった。

☆こうじ 1989年5月6日生まれ。大阪・池田市出身。日本拳法師範の父から影響を受け、4歳から始めた日本拳法、空手の全国大会で活躍。プロ転向後は名古屋と大阪を中心に様々なリングで試合をこなした後、2016年からK―1に参戦し、RIZINには20年から登場。歯に衣着せぬ発言と、「モテてしゃーない」と何度も写真週刊誌に激写されるモテモテぶりで一躍注目を集める。昨年大みそかにYA―MANに敗れ「冬眠」を宣言していた。戦績は29勝17敗10KO。ISKA世界ライト級王者。173センチ。