大みそかの格闘技イベント「RIZIN.33」(さいたまスーパーアリーナ)で、〝キック界のドン・ファン〟こと皇治(32)が、YA―MANと壮絶すぎる殴り合いの末、判定0―2で敗れた。

 1ラウンド(R)開始約45秒で皇治の左の蹴りがYA―MANの下腹部にクリーンヒット。いきなり不穏なスタートとなった。怒りのYA―MANに距離を詰められた皇治はロープ際で足を止めて打ち合い。ド派手などつきあいで会場は大いに沸かせたが、その後、皇治のバッティング(頭突き)がヒットして試合が止められる一幕もあった。

 2Rも開始から激しい打ち合いになる。共に距離を詰めると、大みそかにふさわしい〝シバキ合い〟。2人ともなぜ立っているのか理解できないくらい顔面にもろにハードなパンチを受けては返す。このRはバッティングもローブローもなかった。

 最終3Rも人の理解を超える殴り合い。開始からともにほぼ足を止めてヨロヨロになりながら拳をぶつけ合い、あまりの壮絶さに放送席に入っていたタレント・勝俣州和も言葉を失い、笑ってしまうほどだった。

 試合結果は判定0―2で皇治の負け。試合後は健闘をたたえるようにハグをかわした。試合後、YA―MANは「自分、家庭環境複雑で、底辺からここまで来ました。どんなに環境がアレでも成り上がれるので、今キツいと思っている人は自分でしか切り開けないので、切り開けるように頑張ってください。僕は切り開きました」と泣きながら絶叫した。

 一方の皇治は試合後「何も言うことないです。YA―MAN選手おめでとうと、言うことだけです。強かったです」と潔く、敗戦の弁。今後は「ちょっと冬眠しようかなと。それだけです」と休養をにおわせた。

 試合については「(プラン通りには)できなかったです。何もできなかったですし、かっこ悪いなと。改めて人生は難しいなと痛感しております。(YA―MANは)打たれ強かったですね。素直に『おめでとう』と言いたいです。彼と打ち合いができて楽しかったです」と振り返り、「冬眠して腹が減ったら起きるのか、そのまま冬眠かは分からないです」と語った。