格闘技イベント「RIZIN.30」(19日、さいたまスーパーアリーナ)で、リオ五輪レスリング男子グレコ59キロ級銀メダルの太田忍(27)が元K―1ウエルター級王者の久保優太(33)を判定で破り、総合格闘技(MMA)初勝利を挙げた。


 昨年大みそかのMMAデビュー戦では、ベテラン所英男の腕十字に一本負け。オリンピアンの意地と誇りをかけて元K―1王者に挑んだ。

 試合はなぜか妻サラさんがダンス付きで熱唱する中で、久保が入場。太田はそんなムードを気合でかき消すように、何やら言葉を発しながら花道を歩いた。

 ゴングが鳴ると、いきなり左ミドルキックを側頭部に被弾。それでも強引に組みつき、グラウンドに持ち込んだ。ここからパウンドで攻めたが、下から蹴り上げる久保をなかなか決め切れない。第1ラウンド(R)終了間際にケサ固めでも腕をとり切れなかった。

 第2Rも開始早々のタックルでテークダウンに成功。グラウンドで上から攻勢に出た。しかしここも決めきれなかった上に、左耳から流血。勝負の第3Rはタックル、組ついてからの足払いでテークダウンに成功。終了間際に渾身のケサ固めで久保の首を絞り上げたが、するりと逃げられた。

 判定は3―0でMMA初勝利。その一方で数あるチャンスに一本を取れず、課題も残った。太田も試合後のリング上で、今後はバンタム級を主戦場に世界最高峰のベルトを目指すと言いつつ「3R判定、塩くさい試合だった」と反省。大みそか決戦出陣を熱望し、さらなる進化を誓った。