格闘王・前田日明氏(62)が2日、取材に応じ、バッティング騒動の末に引退を示唆した〝キック界のドン・ファン〟こと皇治(32)に再起を促した。

 皇治は先月27日の格闘技イベント「RIZIN.29」(丸善インテックアリーナ大阪)での「ワンナイトキックトーナメント」に参戦。梅野源治(32)との1回戦で、開始早々にバッティング(頭突き)が入り、ノーコンテストに。協議の末に行われた白鳥大珠(25)との決勝でも2度のバッティングが見られ、判定負けを喫した後は引退を示唆していた。

 皇治のバッティングに関しては否定的な意見が多いが、前田氏は「不可抗力」と見ている。173センチの皇治に対し、梅野が180センチ、白鳥が183センチと試合ではかなりの身長差があった。「長身の選手に対してインファイトを挑んでいくのは当たり前の話だよ。あんな身長差あって離れたら、もうメッタ打ちにされるからさ。接近戦で仕留めようと勝負をかけるのは仕方ない。わざと(頭突きを)やるんやったら、もっと手際よく鮮やかにやるよね」と解説した。

 さらに今回の一件では〝神童〟那須川天心(22)も試合直後に「第3のパンチは避けるのも技術!!」とツイートし、これに梅野が不快感を示すなど場外戦にまで発展している。

 前田氏は「梅野だって時間がたてば『避けれなかったのまずかったな』って思うよ。そんなん言い始めたらきりがない」と仲裁。「フィリピンの選手なんてボクシングでああいうダーティーボクシングをガンガンやってくるよ。(皇治は)バッティングでたまたま当たったくらいで、ダーティーな部分ないもん。相手2人とも長身だから仕方ないよ」と擁護した。

 格闘王から見た皇治の評価は高く「客呼んでナンボなんだから、これでまた客呼んでいっぱい切符買ってくれる人が出てくるんだからいいじゃない。いつかまたそいつらを見返してやればいいだけの話。プロモーター的に見たら彼はいい選手ですよ」と断言。それだけに引退示唆発言は不必要だったという。

「引退する必要なんかないよ。そんなもん、いちいちさ。少女フレンド(注・昔の少女漫画誌)、入ってさ。ウダウダ言ってるんじゃないよ。『私ってなんてかわいそうなのかしら』って悲劇のヒロインやってる場合じゃないよ」

 RIZINでは6月13日東京ドーム大会でクレベル・コイケ(31)に敗れた朝倉未来(28)も試合後に引退を示唆。翌日になって現役続行を発表したが、2大会連続でメインイベントの敗者が進退に言及する事態が続いている。

 前田氏は「引退したらカッコいいと思ってんだよ。少女フレンド、してんじゃない。鼻かんで涙拭いて顔洗って練習と試合せいって」と、2人に愛のゲキを飛ばした