リオ五輪レスリング銀の〝忍者レスラー〟太田忍が大みそか「RIZIN」電撃参戦!

2020年11月21日 05時01分

RIZIN参戦が明らかになった太田忍

 2016年リオ五輪レスリング男子グレコローマン59キロ級銀メダルの太田忍(26)が、大みそか決戦「RIZIN.26」(さいたまスーパーアリーナ)に電撃参戦することが本紙の取材で明らかになった。太田は21日の「RIZIN.25」(大阪城ホール)に登場。総合格闘技(MMA)転向を表明する。人並み外れた身体能力と抜群の格闘技センスで、日本グレコでは実に16年ぶりの五輪メダルをもたらし、昨年の世界選手権も制した「忍者レスラー」が満を持してリングに殴り込む。

 世界の頂点を知る男が、ついに総合格闘技デビューを果たす。五輪銀メダリストデビューの舞台となるRIZINの榊原信行CEO(57)は「待ったなしで大みそかを用意しました。(レスリングのスタイルではフリーより)グレコローマンのほうが総合格闘技に向いているとも言われますし、ベースにレスリングがあるのはストロングポイント。打撃の部分も、実戦を重ねる中で、自分の中に取り入れていければとても楽しみです」と期待を寄せた。

 太田はかねてMMAに興味を示しており、生まれついてのファイターだ。乳飲み子のころから、レスリング経験者の父・陽一さんに闘争本能を鍛えられた。太田がおいしそうに口に加えた哺乳瓶を陽一さんがわざと取り上げ、それを取り返すことから練習開始。幼稚園ではわんぱく相撲で汗を流し、小学1年からレスリングを本格的に開始した。週2回は名門・八戸キッズで練習し、それ以外も父が自宅につくった道場で休みなく5時間練習。持ち前の身体能力と、練習で絶対に手を抜かない努力で、各世代で結果を出してきた。

 2015年に全日本選手権で初優勝。翌年のリオ五輪では、準決勝で強豪バイラモフ(アゼルバイジャン)を豪快ながぶり返しで仕留める快進撃を見せ、銀メダルを獲得した。

 19年には63キロ級で世界選手権も制覇。リオに続く東京五輪出場は国内代表争いに敗れてかなわなかったが、その実力は国内外で高く評価されている。同年度の東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」ではレスリング特別表彰を受賞。同年の世界レスリング連合(UWW)の「レスラー・オブ・ザ・イヤー」では男子グレコで2位(アジア連盟選出では1位)に選出された。所属したALSOKを今年9月いっぱいで退社。動向に注目が集まっていた。

 MMAにはレスリング時代からなじみがある。数年前からは自前でミットを購入。練習や遠征に持ち込み、ハイキックやパンチのミット打ちを体幹強化や試合前のアップに応用するなど、早くから打撃の練習も取り入れてきた。

 観客に魅せる試合にも常にこだわった。上半身のみの攻防であるグレコは試合が硬直することがあるが、太田はこれを一番嫌った。素早い身のこなしと豪快な胴タックルやがぶり返しで、大歓声を起こしてきた。国内外のレスリングファンは太田を「忍者レスラー」「ファンタスティックレスラー」と呼ぶ。観客を意識するプロフェッショナルな姿勢は、MMAの世界でも大いに発揮されるはずだ。

 何より、毎年世間の注目を集める大みそか決戦でプロデビュー戦が組まれるのは、大きな期待の表れだ。気になる対戦相手については、早ければ21日の大阪城大会「RIZIN.25」で発表となる見込み。世界の頂点を知る、天性の格闘家の第一声に注目だ。 

☆おおた・しのぶ 1993年12月28日生まれ。青森県出身。小学1年時に八戸キッズ教室でレスリングを始める。山口・柳井学園高時代の2010、11年に全国高校生グレコローマン選手権連覇。日体大に進学し、12年世界ジュニア選手権でグレコ55キロ級銅メダル。15年全日本選手権グレコ59キロ級を制すると、翌年のリオ五輪で同級銀メダルを獲得した。19年世界選手権グレコ63キロ級で優勝。165センチ。