格闘技イベント「RIZIN」のエース・堀口恭司(29)が完全復活を誓った。昨年11月の練習中に右ヒザに重傷を負い全治10か月と診断され、現在は国内でリハビリの日々を送る。来るべきカムバックへ向けて、マネル・ケイプ(26=アンゴラ)の手に渡ったRIZINバンタム級王座への思いや、8月に敗れた朝倉海(26)へのリベンジについて本紙に激白した。

 昨年はまさに「天国から地獄」の一年だった。6月に米ニューヨークのマジソンスクエア・ガーデンで米格闘技団体「ベラトール」バンタム級王者のダリオン・コールドウェル(32=米国)を破り、史上初めてRIZINとの2団体同時制覇王者に君臨した。

 しかし、8月のRIZIN名古屋大会で朝倉海に敗れると、11月の練習中に右ヒザに前十字靱帯断裂と半月板損傷の大ケガを負い、2本のベルト返上を余儀なくされた。ケガの瞬間について堀口は「ヒザは去年に入ってすぐからずっと痛くて。靱帯が切れる時って普通は『ブチッ』って音がするんですけど、今回は『スー』っといきました。たぶん前からほとんど切れてたんだと思います」。それでも手術から約2か月が経過し「順調ですよ。リハビリの先生からは『治りが早い』って言われました」と、上半身を中心に徐々に体を動かし始めているという。

 主役を欠いたRIZINのバンタム級戦線は混沌を極めている。堀口がベルトをかけてリベンジマッチを戦うはずだった朝倉海は、大みそかの同級王座決定戦でケイプに敗北。ベルトはアンゴラに流出した。

 その瞬間をテレビ解説席で見た堀口は「あの瞬間? 正直言って『ありがとう、面白くしてくれて』って思いましたよ。あそこで海選手が勝ってたら、自分が復帰しても一つのリベンジで終わっちゃうじゃないですか。でも、ケイプが勝ったことでめちゃくちゃになって面白くなりましたよね」とほほ笑んだ。

 その言葉通り、ケイプの勝利で復帰後の標的は「ベルト」と「リベンジ」の2つとなった。「もちろん両方狙います。自分としては、まず海君をぶっ飛ばすっていうのが一番。その上でケイプからベルトを返してもらいます。RIZINもベラトールも、自分の中でベルトは預けただけなんで。預けたものは返してもらわないといけませんから」と言い切った。

 復帰のめどは、9月開催濃厚のさいたまスーパーアリーナ大会。「(重傷を負ったため)たぶん誰も『もとの恭司に戻る』とは思ってないと思うんです。でも、自分はそこより上に行きますから。『もとより強くなって帰ってきてやる』って思ってるんで。最後に一番おいしいところを、自分がいただきます」

 今月末には拠点の米フロリダへ戻る。再び世界の中心を目指し、孤独で地道なリハビリ漬けの日々に入る。