【リングを彩る魅惑の女子ファイター】昨年9月に死去した山本“KID”徳郁さん(享年41)の「最後の愛弟子」が、KRAZY BEEに所属する女子格闘家のあい(29)だ。東京都出身で、レスリングを始めたのは幼稚園の時。いじめ対策として親が習わせた。埼玉栄高、東洋大時代はジュニアオリンピックや全日本学生選手権で優勝するなど輝かしい実績を残すも、大学卒業後は「もう格闘技とかやりたくなかった。普通の女の子になりたくて」とレスリングを続けなかった。

 潮目が変わったのはヨガのインストラクターとして働いていた昨年。KIDさんの推薦選手としてインターネットテレビ局「AbemaTV」の「格闘代理戦争」のオファーを受けた。最初は断ったが、以前から付き合いがあった山本美憂からも熱心なアプローチを受け「信頼してる徳さん(KIDさん)が、そこまで言ってくれるなら」と受諾。ただし「格闘技どころかレスリングの練習もしてないし、体重も増やさなくてはいけない」と試合までの1か月は多忙を極めた。

 ヨガの仕事も続けていたためプライベートな時間はなく、結果は準決勝で敗退。「総合格闘技、向いてないな。ここで終わりでいいかな」と感じていたころ「RIZIN」から参戦オファーが届いた。そして昨年大みそかに地下アイドル「仮面女子」の川村虹花に勝利してプロデビューを飾り、ここから4連勝。一躍、その名を広めた。

 RIZIN女子スーパーアトム級王者の浜崎朱加とは同階級だが「相当差があることは分かっているので、もうちょっと勝負できるようになってから。まずは目の前の相手に集中する」と冷静に自己分析する。将来の目標は「一本、KOで勝てる、ファンに応援してもらえる選手」。額には昨年末にできた小さなたんこぶが残る。「気になります。治るなら顔に傷がついてもいいですけど」と女子らしい一面ものぞかせた。