【RIZIN】現役世界王者パッキャオと“合体”の波紋

2019年04月10日 11時00分

マニー・パッキャオ

 格闘技イベント「RIZIN」の榊原信行実行委員長(55)は8日、自身のツイッターを更新し、ボクシングの現WBA世界ウエルター級王者で6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(40=フィリピン)が21日の「RIZIN.15」(横浜アリーナ)に携わることを明らかにした。RIZINでは昨年大みそかに元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(42)とキックボクサー那須川天心(20)が「ボクシングルールでのエキシビション」で対戦しただけに、“パックマン”とRIZINの連携にボクシング界は困惑している。

 榊原実行委員長はこの日更新した自身のツイッターで、パッキャオが契約書とみられる書類にサインしている写真を掲載した。同時に「現在、実はフィリピンに来ています。メイウェザーに続き、RIZIN.15ではこの男と新たな仕掛けを行います。帰国したらすぐに発表しますので、楽しみにしていてください!」(原文ママ)とも投稿。詳しい内容は明らかにされていないものの、パッキャオは21日の横浜大会に来場する可能性もあるという。

 果たしてパッキャオ参戦があるのだろうか。すでに引退していたメイウェザーですら、那須川戦は「キック一切禁止のボクシングルール」だった。現役世界王者のパッキャオがリングに上がるとなれば、ケガのリスクを負ってキックや総合格闘技のルールでやることは考えられない。とはいえ、パッキャオが今後日本の格闘技イベントで「ボクシングの公式戦」をやることもあり得ないのが実情だ。

 日本国内でプロボクシングの試合を認定するのは日本ボクシングコミッション(JBC)のみ。試合をやるにあたっては、プロモーターライセンスを持った人間が戦績証明書などを伴って申請する。さらにレフェリーやジャッジ、ドクターなどもJBC公認のメンバーを揃えることが必要だが、パッキャオについての申請は8日現在、出されていない。

 また「ボクシング」という競技は「同じ階級(体重)の選手が同じグローブで戦うのが大前提です」(JBC関係者)。それが昨年大みそかには前日計量で那須川が62・1キロ、メイウェザーは66・7キロと発表され、約7%相当の差があった。JBCルールでは、前日計量で契約体重を3%超オーバーすると試合は即中止となる。それだけの差があると、ボクシングとして成立しない危険が伴うということだ。

 それでも「スペシャルエキシビション」で行われた2人の試合では、メイウェザーが那須川にKO勝ち。これを「ボクシングの試合」と認識している一般の人は少なからずいる。現役王者のパッキャオがリングに上がれば、大みそかのような試合形式でも「ボクシングをした」と思われて当然。WBA世界バンタム王者の井上尚弥(25=大橋)らが取り組んでいるのが本来のボクシング。メイウェザー―那須川戦もボクシングとして認めていないJBCとしては、パッキャオが“試合”をした場合に「同じように見られるのは…」(同関係者)と困惑を隠せずにいるのだ。

 もちろんそうした状況はRIZIN側も認識しており、榊原氏もメイウェザー戦は「公式戦ではない」と話している。榊原氏は近日中にも「新たな仕掛け」の詳細を説明する予定。その中身がどんなものであろうと、これまでも進んで波風を立ててきたRIZINらしく世界の格闘界に波紋を呼ぶことは間違いない。