RIZIN女子スーパーアトム級トーナメント覇者の浅倉カンナ(21)が、女子エースの座に返り咲く。昨年大みそかはRIZIN女子スーパーアトム級初代王座取りに失敗したが、再起戦となった9日の「DEEP JEWELS」で見事に勝利。王者・浜崎朱加(36)へのリベンジとベルト取りを次の目標に掲げた。

 浅倉は今年初戦となった9日の試合で前澤智に判定3―0で勝利。幸先いいスタートを切れたことで、どこか表情も晴れやかだった。今後についても「RIZINのベルトをもう一回狙える位置まで行きたいです」とキッパリ口にした。

 エースの座から転落したのは昨年大みそかのこと。初代王座をかけ、米国の「INVICTA FC」でアトム級王座を獲得した実績がある浜崎と激突するも、実力差を見せつけられる結果になった。周囲の期待を裏切ったのは事実。だが、浅倉自身が得た収穫は大きかった。

「一本負けが初めてだったので悔しさもあったんですけど、負けた瞬間にスッキリしたんです。『あっ、まだまだ強くなれるな』って。今では『負けて気持ちが強くなれたかな』って思います」と振り返る。

 これまで女子格闘界をけん引したシュートボクシングの“絶対女王”RENAに2連勝し、一躍女子の中心に躍り出た。一方でこのころから“異変”が生じていた。「考え過ぎてしまって、練習から全くうまくいかなくなったんですよ。前向きになれなかったっていうか。周りから『強い』って言われることにも戸惑ってしまって。メンタル的なスランプでした」

 この状態で臨んだ浜崎戦で敗れはしたが、スランプ脱出のキッカケになったのだ。もう迷いはない。最初に狙うのは、王者・浜崎のベルトだ。「(挑戦者候補の)列の一番後ろから再出発になるのは分かっています。でも、私はゼロからの時の方が強いんです。今までも負けた後の方が伸びてきたから、自分で自分が楽しみです」。成長を遂げた元女王の、新たな戦いがスタートした。