本当に世界を変えそうな予感がしてきた。“キック界の神童”こと那須川天心(20)が18日、格闘技イベント「RIZIN.14」(31日、さいたまスーパーアリーナ)で実現するボクシングの元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41)とのエキシビション戦に向けて意気込みを語った。圧倒的不利とも言える条件の中、磨き続けた拳一つで奇跡を起こそうとしている。

 那須川はこの日、拠点とする千葉・松戸の「TEPPEN GYM」で練習を公開。シャドーとミット打ちを3分ずつ行った。事実上のボクシングルールによる一戦(3分3R)に向け、ジャンプしながら放つスーパーマンパンチなど得意技も交えつつ軽快な動きを見せた。

 練習後は今年、何度も口にした「拳一つで世界は変えられる」のフレーズを交えながら「世界最強の選手なんで自分が油断するポイントは一つもない。倒すことを考えてはいますけど、まずパンチを当てること。当たれば倒せるパンチは持っていますから」と語った。

 また試合のキャンセルを示唆して騒ぎを起こした後も、SNSなどで挑発を繰り返しているメイウェザーに対し「そういう人が世界一だと思いたくない。それを変えるために頑張るしかないと思う」と語気を強めた。

 囲み取材後は本紙の取材に応じ、恒例となった「今年の漢字一文字」を色紙にしたためた。「うりゃ! おりゃ!」と気合を入れながら「拳」の字を書くや、その真意を明かした。

「僕にとって生きるすべですから。今まで拳一つでいろいろ変えてきました。特に今年はそうだったと思います。『拳一つで世界を変える』と言い続けた年の最後にメイウェザー選手と戦うんですから、一つの集大成ですよね。言葉って強いんです。信じれば救われる、じゃないですけどね」

 この一戦は得意とする蹴りが禁止され、体重差は約10キロもある。しかもグローブハンディもメイウェザーサイドは認めない意向で、不利な条件ばかりが並ぶ。

 しかし約2週間の米国遠征では、ボクシングの元3階級制覇王者ホルヘ・リナレス(33=帝拳)を相手に毎日スパーリングを行うなどして自信を深めたのは事実。シューズもリナレスの助言により、スピードを生かすためグリップの利いたレスリングシューズを履くという。

「もう試合に向けた練習しか今はやっていないですからね。何か起こすと思いますよ。まあ、イメージは出来上がりつつあります。秘策? それは、まあ…ね。とにかく、やるしかないですよ」

 最後にそう語るとニヤリと笑った。2018年を最高の形で締めくくるため、平成最後の大みそかに“大番狂わせ”は起きるのか。