頂点に立った男が夢の実現に向けて動きだす。格闘技イベント「RIZIN.13」(30日、さいたまスーパーアリーナ)で“キック界の神童”那須川天心(20)が、RIZINのエース・堀口恭司(27)との頂上決戦を制した。試合後は格闘界のさらなる発展に尽力することを誓い、視線の先に東京ドームでのビッグマッチ開催を見据えた。

 注目の黄金カードにふさわしい試合内容だった。那須川は序盤から高速の左ミドル、ハイキックで攻め込むと、堀口も初のキックルールとは思えない対応力を発揮。伝統派空手特有の遠い距離から飛び込んでのパンチをヒットさせて、超ハイレベルなカウンターの応酬となった。

 勝負の分かれ目になったのは最終ラウンド終盤だ。那須川は豪快な回転蹴りを決め、怒とうのパンチのラッシュで相手をふらつかせた。最後まで互いに倒れなかったものの、この攻勢が決め手となり、判定3―0のフルマークで勝利を収めた。

 試合後はマイクを持って「このカードが決まった時から、本当に緊張でいっぱいでした。こういう勝ちになりましたけど、成長できたと思います」と感極まった様子。

「日本も捨てたもんじゃないと思いました。まだまだ盛り上げることができると感じました。希望が見えた」と2万7208人超満員(主催者発表)の観衆を集めたことで、確かな手応えをつかんだ。

 心に秘める究極の夢がある。8・18東京ドーム大会の開催だ。

「自分の中で一番有名な会場は東京ドーム。大きい会場でやると、それ自体が話題になるじゃないですか。この間矢沢(永吉)さんの東京ドームコンサートに行ったんですけど、1人で5万人埋めますからね。その影響もあります。そういう存在になりたい…いや、ならなきゃ納得できない。やるなら自分の誕生日の8月18日。誕生祭ですね」

 さらには、プロレス通らしく「新日本の1・4みたいに毎年恒例になれば最高ですよね。1・4みたいに選ばれた者しか出場できない大会で」と続けた。

 次戦はホームグラウンドにする格闘技イベント「RISE」の東京・両国国技館大会(11月17日)になることが濃厚。プロレスのビッグマッチも数多く行われる同会場を満員にして、夢の誕生祭開催にまた一歩、近づくつもりだ。