立ち技打撃格闘技イベント「RISE」の年間最大興行「RISE ELDORADO 2022」(2日、東京・国立代々木競技場第一体育館)で、〝キック界の神童〟こと那須川天心(23)が風音(23)に判定2―0で〝卒業マッチ〟に勝利した。

 同じTEPPEN GYMを拠点とする同門対決は、神童の父でジム会長・那須川弘幸氏が風音のセコンドなどでサポートし〝史上最大の親子ゲンカ〟とも言われた。代わりに那須川のセコンドには事前に予告していた通り、朝倉未来が就きサポートした。

 試合前には那須川親子が拳をぶつけ合う一幕も。1ラウンド(R)はゴング開始早々に那須川が飛び込んだが、風音からも応戦される。ローキックを受けるなど、まさかの打ち合いになった。2Rも前に出てくる風音にパンチをヒットさせるが、決定打は出ず。逆に右のパンチを顔面に受ける危険な場面もあった。

 ともに攻め合い、決定打を許さない中で迎えた最終3R、那須川は胴廻し回転蹴り、強烈なアッパーなど繰り出して攻めるが、風音を仕留めることはできず。結果は判定に委ねられ、ジャッジ3人中2人が30対29で那須川に、1人が29対29でドローにつけて神童に勝利が告げられた。

 ホームリング「RISE」でのラストマッチを終えた那須川は「最後の試合、スカッとKOで圧倒的に勝ちたかったけど、敵に父親がいるし、一緒に練習していた風音で力んじゃったというか。こんな殴られたのも初めてで」と苦笑い。

 前に出て打ち合うスタイルを見せたが「新しいことをしようとするとうまくいかない。ムキになって良くない。でも、倒すことはできなかったけど、いいものを見せられたと思います」と充実の表情だった。

 そして自らがいなくなるRISEについて「伊藤(隆)会長がいたからRISEに来ました。他にも大きな団体があって、K―1もあって、そっちからもオファーがあったけど(入ったのが)RISEで良かったと思います。ボクシングでも、RISEファイターとして戦うので注目してください。そして、僕がいなくなってもRISEをサポートしてください」と感慨深げに話し、引き続きの応援をファンに呼びかけた。

 そしてボクシング転向を控える自身は6月19日に東京ドームでK―1のエース・武尊と戦ってキックボクシング最終戦を迎える。この試合に向けて「あと2か月ちょっとしかない。今のままじゃ、こんな試合をしているようじゃ勝てないと思います。しっかり仕上げて、自分のスタイルを貫いて気持ちを出して勝ちに行こうと思うんで期待してください。RISE代表として、キックボクシング代表として勝ちに行きます」と必勝を誓った。

 いよいよキックボクシングであと一戦となった神童のラストまで、目が離せそうにない。