2020年東京五輪に向け、“異種タッグ”がついに実行された。全日本空手道連盟(JKF)が2日、都内で行った男子組手の強化選手選考会(84キロ超級)に、極真会館の高橋佑汰(24)と上田幹雄(21)が初参加。両団体は15年4月に友好団体の覚書をかわしたが、極真の選手がJKFの試合に参加するのは初めて。2人は強化育成選手としてJKFの強化合宿に参加することが決定し、また歴史的一歩を踏み出した。

 極真会館の昨年の全日本選手権で高橋は2位、上田が3位という実力者。ただ、極真はフルコンタクトルールだけに、東京五輪で採用される寸止めの世界空手連盟(WKF)ルールへの対応がカギになる。高橋は前日に一度練習しただけというなか、まったく異なるルールに持ち味を出せず、極真勢はともに2戦を戦い1ポイントも奪えずに敗れた。それでも「初めてであれだけできたのは相当なこと。成長が楽しみ」(JKF日下修次事務局長)と強化合宿参加が認められた。

 2人が望む限り、年内のすべての強化合宿に参加できる。「JKFの選手も絶対に負けられない気持ちになるし、極真の技も学べる。お互い刺激し合っていい効果がある。日本代表入りすれば、国際大会に派遣することもある」(同事務局長)と相乗効果を期待した。

 視察に訪れた極真会館の松井章圭館長(54)は「全く経験がゼロで臨んだなか、2人の前向きな気持ちは100点だったと思う。全空連さんに感謝したい。2人は今後も必ず頑張ってくれると思う。成長を確信しています」と満足げな表情。高橋は「大変勉強になりました。極真の技だけでは通用しないことがわかった。今後も一歩ずつ頑張りたい」と気合を入れ直し、上田も「五輪を目指せる立場になったので、目指したいと思った。そのための一歩」とキッパリ。両団体が東京五輪に向け切磋琢磨を続ける。