遅咲きの空手家が偉業を達成だ。世界選手権の女子形がUAE・ドバイで行われ、40歳のサンドラ・サンチェス(スペイン)が金メダルを獲得。今夏の東京五輪に続き、世界の頂点に立った。

 東京五輪銀メダルの清水希容(ミキハウス)の最大のライバルとして知られるサンチェスは、遅咲きの空手家だ。長年にわたる厳しい筋力トレーニングで鍛え上げたパワーとスピードを武器に、2018年世界選手権(スペイン・マドリード)で清水を破ると、一気に台頭。かつて清水は「人生経験も長いですし、私よりも年齢が上っていうのもあるんですけど、何よりも空手の中で、お互いがそういう風に思い合って高め合えるライバル」と尊敬の念を抱いていた。

 今年の世界選手権に清水は不出場だったが、スペイン紙「アス」によると、サンチェスは東京五輪後に1週間だけ休養し、すぐさま再始動。ライバルが不在でも、2冠へ向けて着実に歩みを進めていたという。

 実際に世界選手権でも順調に勝ち進み、決勝では大野ひかる(大分市消防局)に勝利して優勝。同紙は「今回はコロナ禍で東京五輪が延期したことにより、世界選手権と五輪が同年に開催された。サンチェスにとって、五輪の金メダルだけでは十分ではなかった。彼女は形の歴史を変えた」と褒めたたえた。

 試合後には、世界選手権を戦った仲間に向けて、ツイッターで「この子たちと畳の上で試合ができて光栄です」と感謝のメッセージを投稿。畳の外でも空手道を貫く紳士さが快挙を引き寄せた。