全日本空手道連盟(全空連)は9日、都内で理事会を開催。東京五輪組手女子61キロ超級代表の植草歩選手(28=JAL)へ竹刀を使った練習を行った香川政夫氏(65)の選手強化委員の解任と、全空連理事の辞任を決議。理事会後、香川氏はメディアの取材に応じ、その思いを打ち明けた。

 まず、香川氏は「今回こういう結果になったのは本当に残念ですし、私の不徳の致すところだと思います」とした上で、竹刀でケガを負わせた事実関係について「報道でいろいろ言われている竹刀で目を突いたとか、故意にやったとか、そういうことは決してありません」と否定した。

 さらに、植草に対して「十数年、彼女と一緒に稽古をして汗をかいて、また五輪を目指して稽古してきた師弟関係」と表現。その関係にヒビが入った原因について、香川氏は「信頼関係が崩れたのが一番」と明かしつつ、植草が動画サイト「ユーチューブ」の活動について「私が注意して、叱責しました。きちっとしたものであれば私も何も言わなかったんですけど、やはり格好が…露出の部分が非常に多いということで、これは考え直さなければいけないということで、彼女には注意しました」と語った。

 さらに「今、稽古に稽古を重ねて、死に物狂いでやらないと金メダルを取れないだろう、と。その中で、練習態度という部分が私から見て、どうもちょっと心ここにあらずで、何を言っても上の空の感じで」と、植草の態度にも問題があったことを説明。

「練習に遅れて来る。なんで遅れてきたんだって言ったら、パンを食べていたとか。学生には見せられないような態度があったので、そういうことから見直さなければ大学院で勉強する価値がないだろうと、そこは見直して、それから大学も視野にいれてやっていこうということで、年明けて竹刀の練習になった」と経緯を話した。

 しかし、すべてが決着した今、香川氏は「私も言い過ぎた部分があった。私も細心の注意を払って彼女に寄り添ってあげられなかったのが悔やんで仕方がない」と反省。その上で「彼女はこれから五輪に向け、ぜひ金メダルを取って、心身ともに立派な選手になってもらいたい」とエールを送った。