全日本選手権(13日、東京・日本武道館)の女子組手では、東京五輪代表コンビの宮原美穂(24=帝京大職)と植草歩(28=JAL)が序盤に姿を消すなど、多くの波乱を生まれた。

 今大会は、新型コロナウイルス感染拡大後初となる実戦。試合感覚の少なさが番狂わせの要因との見方が強い中、空手関係者からは「〝あの感染症対策グッズ〟も原因の一端なのでは?」との声が上がっている。

 組手では飛まつ感染を防ぐために、頭部を覆うメンホーと呼ばれる専用の防具をかぶり、内側の口元にシールドを着けることがルールとして定められていた。

 メンホーは高校生以下が大会時に着用することが多く、トップの大会で選手が使用するのは異例とも言える。元日本代表選手は「メンホールールだと距離感が変わる」と指摘。実際に選手からは「やっぱりいつもは素面でやっていたので、距離感が違った」などの意見が聞かれた。

 そんな中、決勝まで進んだのは20歳の澤江優月と島愛梨(ともに帝京大)だった。ある大会関係者は「年長選手は、いつも(素面)の距離で攻めていいのか分からなくなると思う。強打してメンホーに当ててしまうと、反則になる可能性もある。その感覚が分からないと、その間に攻められてしまう。その点では最近までメンホーをつけていた選手の方が有利だったかもしれない」と分析した。

 もちろんどの選手も条件は同じだが、今大会は比較的メンホーへの〝耐性〟が残る選手たちが勝ち上がる結果となった。