12年分の恨みを晴らす! 新格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND―PRIX」(12月29、31日、さいたまスーパーアリーナ)の大みそか大会で、ボブ・サップ(41)との“世紀の再戦”が決まった元横綱曙(46)が8日、本紙に心境を激白。シュートボクシング(SB)ルールでのリマッチに「自分に合っている」と復讐に自信をみなぎらせた。

 前回の対戦は同じく大みそかに行われたK―1「Dynamite!!」(2003年)。試合中継は瞬間最高視聴率43・0%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)をたたき出したが、元横綱にとっては1ラウンド2分58秒でKO負けした“屈辱”しか残っていない。

 曙は「この12年、ずっと苦しんできた。ただ、リスクを恐れて挑戦を避けていたら、本当の『王道』にはなれない。それが素直な気持ち」と先日立ち上げた新会社を引き合いに出して、再戦の理由を説明する。

 格闘家転向直後は毎日記者が自宅まで押し掛けた。さらにテレビ収録もこなし、練習は十分ではなかった。しかし今回は「同じく注目されているが、前よりはかなり気が楽」と余裕が見える。

 現在は打撃をDEEPフェザー級王者・横田一則(37)に師事。近日中にはSB創始者・シーザー武志会長(60)の「シーザージム」に“出稽古”に行く予定もある。

 さらにルールも「自分に合っている」と断言。前回はK―1ルールだったが、今回はスタンディングでの関節技、絞め技、投げ技ありのSBルールが採用された。

 大相撲で培った投げには「お互いスーパーヘビー級。逆にスタミナが削られてしまう」と否定的だが「押すのも、つかむのもOKになるのは有利。K―1の時はどうしてもクセが出て押すか、つかむかして注意された。この2つができることで、相手を追い込むことができる」と自身のほうが断然有利とみている。

 もちろん、プロレスでの経験も大きい。リングへの戸惑いが消えたこともあるが「一番は戦いの“間”が分かったこと。自分や浜(亮太)のような相撲あがりはゴングと同時に100%を出してスタミナがもたないケースが多い。だけど今は経験を積んで30分1本勝負もこなせる。3分3Rフルで戦う準備はできてます」と胸を張る。

 とはいえ、判定に持ち込む気はない。相手も短期決戦を狙ってくることは明白だ。「相撲でもプロレスでも一応の実績を出せたが、このリングだけ実績を残せていない。だから絶対に勝ちたいし勝つ。これはプロレスラーとしてではなく『男』としての戦い」と自分へ必勝を義務づけた。