K―1スーパーフェザー級王者の武尊(28)が“モンスター流”で復活を果たす。右拳のケガからの復帰戦(24日、横浜アリーナ)が目前に迫る中で、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級トーナメント決勝(7日)では、かねて親交がある井上尚弥(26=大橋)が優勝を飾った。K―1のエースが“モンスター”から得たもの、そして思い描く今後の野望とは――。

 世界中を興奮させた井上とノニト・ドネア(36=フィリピン)のバンタム級頂上対決。「ナチュラル・ボーン・クラッシャー」と称されるK―1の顔もまた例外ではなかった。「録画して見ました。いや、すごいっすよね。刺激になりましたね、すごい、いい試合だった」(武尊)

 井上とは普段から食事に行く仲だといい、インスタグラムなどのSNSではメッセージを送り合ってきた。今回は試合前で集中しているからという理由で連絡することを遠慮したが、盟友の大奮闘は文字通り「糧」となった。「世界のイノウエナオヤになったじゃないですか。僕も負けてらんないんで。世界にK―1をもっと広めて、アピールできるように頑張りたい」と誓う。

 自身は3月にKO勝ちを収めた際に右拳の腱を断裂する大ケガを負い、手術を受けた。そういったこともあり、井上の破壊力満点のパンチから学ぶことは多く「井上選手はボディー(ブロー)、うまいじゃないですか。打ち方とか、対サウスポーの戦い方とかも参考にしています。ボクシングの動きはK―1でも使えるし、完成されてるんで」と、さっそく“モンスター流”を試合に生かすつもりだ。

 井上は試合後、主要4団体制覇を狙う意思を示した。K―1のエースにも同じように巨大な野望がある。「格闘技界を一つにしたいっていうのが一番大きい。立ち技の一番を決める大会のK―1をもっとデカくして、野球とかバスケ、サッカーと同じぐらいのスポーツにしたい」と明かす。

 8か月ぶりの復帰戦となる24日の「K―1 WORLD GP 2019」では前フェザー級王者の村越優汰(25)と対戦する。「昔のK―1でも使っていた会場(横浜アリーナ)なので、今回の大会は挑戦だなと。昔を超えるところを見せて、最終的には地上波ゴールデンタイム生中継っていうのをまた実現させたい」。復帰戦で狙い通りの勝利を飾り、モンスター同様に世界へと羽ばたくつもりだ。