ボクシング界が注目する2大ビッグマッチの結末は――。5日(日本時間6日)にはカリフォルニア州カーソンでWBAスーパー、WBC、IBF統一ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキン(36=カザフスタン)の防衛戦が行われ、12日(同13日)には世界最速で2階級王者となったワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ)がニューヨークのマジソンスクエア・ガーデンで3階級制覇に挑戦する。この2試合と深い関係があるのがWBA世界ミドル級王者の村田諒太(32=帝拳)。世界で下馬評が固まりつつあるなか、意外な見解を示した。

 現代のボクシング界でナンバーワンと言われるゴロフキン。5日は当初、昨年9月に引き分けた「カネロ」ことサウル・アルバレス(27=メキシコ)との再戦が予定されていたが、アルバレスがドーピング検査で陽性となって中止。相手は階級が一つ下のWBCスーパーウエルター級1位、バネス・マルチロシャン(32=米国)に変わった。

 前戦の引き分けで世界的には「ゴロフキンは力が落ちた」という評価も生まれた。だが村田は「カネロのパンチが当たってもビクともしなかった」とした上で「勝って当たり前と言われるのは久しぶり。ここで相手を一蹴するなら落ちてないし、苦戦するようだったら落ちているということ」と早急な評価を避け、分岐点の一戦になるという見方を強調した。

 帝拳ジムとともに村田をプロモートするトップランク社のボブ・アラムCEO(86)は、将来「東京ドームでのゴロフキン対村田」構想を掲げている。盛り上がるボクシング界への恩返しを常に考えている村田にとって、ゴロフキンの動向は見逃せない。「戦うことになった時のイメージはしています」という視点で試合をチェックする構えだ。

 一方、世界最速の3階級制覇を狙うロマチェンコの相手は、村田のジムメートでもあるWBA世界ライト級王者、ホルヘ・リナレス(32=ベネズエラ、帝拳)。世界的にはロマチェンコ有利とされるが、村田の見方は少々違う。

「普通は下から階級を上げてきた方がスピードで有利だけど、ホルヘは他のスーパーフェザー級の選手より速い。彼が止められなかったら他の(ライト級の)選手は無理では。勝ってくれると信じています」と大きな期待を寄せた。そのうえで「ロマチェンコは打たれたことがない。ホルヘの右が当たればダメージがあるはず」とリナレスが世界を驚かせるシーンを予想。村田の分析力は世界でも定評があるだけに、結果が気になるところだ。