体重オーバー・比嘉大吾に予想超える「ライセンス無期限停止」大厳罰の背景

2018年04月26日 16時30分

減量に失敗した比嘉(左)だけでなく、具志堅会長にも厳罰が下った

 日本ボクシングコミッション(JBC)は25日に倫理委員会を開き、15日のWBC世界フライ級タイトルマッチに備えた前日計量をパスできずに王座を剥奪された前王者の比嘉大吾(22=白井・具志堅)について「ライセンスの無期限停止処分」と「ファイトマネー相当額の20%を制裁金として徴収する」ことを決定した。半年程度の出場停止が予想されていた中で、下された処分は想像を超える「厳罰」。JBCが断固たる姿勢を示した理由とは――。

 日本ボクシング界初の汚点を残した代償は大きかった。JBCは前記の「ライセンス無期限停止」「制裁金」に加え、次戦は1階級上のスーパーフライ級より上に上げることを義務付ける「階級変更命令」と、白井・具志堅ジムの具志堅用高会長(62)、野木丈司トレーナー(57)とマネジャーも管理責任懈怠(けたい)を理由として戒告処分とした。これを受けて白井・具志堅ジムは「あってはならない事態を引き起こしてしまったことを深く反省しております。JBCの処分を厳粛に受け止め、選手の健康管理等を徹底する所存です」とのコメントを発表した。

 比嘉は14日に行われた前日計量で900グラムオーバー。再計量は行わずにギブアップし、日本人の世界王者として初めて体重超過を理由に王座を剥奪された。翌日に行われた試合もクリストファー・ロサレス(23=ニカラグア)に9回TKO負け。デビュー戦から続けていて日本記録に並んでいた連続KO記録の更新もならなかった。

 比嘉の処分についてボクシング界では半年程度の「出場停止」になるのでは、との見方がされていた。だが、JBCが出した処分は予想を上回る重いもの。「無期限停止」は「いつでも処分を解除できる」と解釈できなくもないが、JBCは処分解除の条件として「定期的なコンディション管理報告、健康状態報告等を受け総合的に勘案して決定する」との条件を付けた。

 ここまでの厳罰となった背景には、国内で計量をパスできないケースが続出していることがある。記憶に新しいところでは、3月1日のWBC世界バンタム級タイトルマッチに臨んだ当時の王者、ルイス・ネリ(23=メキシコ)。前日計量で2・3キロオーバーし、2時間後の再計量でも1・3キロオーバーで失格となった。

 JBCはこれまで、体重オーバーに対しては「精一杯頑張ったけど落とせなかった」という努力があってこその結果、という考え方だった。それがネリの場合は最初からリミットに落とす気がなかったとしか思えない蛮行。階級制の意味を根底から覆すことになりかねない事態の頻発に、JBCは方針変更を決めた。最初の計量で制限体重の3%をオーバーしていた場合には「再計量の機会も認めず即失格とし、試合も中止」とするローカルルール制定を5月の理事会に諮る。

 これは日本で開催される世界戦でも基本的に採用される重いもの。最後の最後まで減量に努力した比嘉に同情の余地がないわけではない。だが、所属ジムの名称にもなっている故白井義男氏が1952年に日本初の世界王者となって以来、誰一人として失敗しなかった事実に対しては「忖度」なしで断固とした姿勢を見せるしかなかった。それは日本ボクシング界のレジェンド、具志堅会長に対しても同じだった。

 とはいえ、比嘉は選手生命を断たれたわけではない。10階級上のミドル級の選手並みに発達した胸囲を持つ肉体の減量は、パニック症候群に襲われたり、脱水症状を起こしていたように、限界を超えていた。明るい性格でスター性もあるだけに、適正階級への転向とトレーニングによって再起が待たれる。