長期政権樹立へ名王者から金言だ。WBO世界ミニマム級タイトルマッチ(18日、神戸ポートピアホテル)で、王者の山中竜也(22=真正)が同級4位モイセス・カジェロス(28=メキシコ)に8回終了TKO勝ちし、初防衛を果たした。

 相手の心を折った勝利だった。8回、山中竜は左右のコンビネーションで圧倒。さらには左フックでカジェロスをグラつかせた。ダウンを奪うまでには至らなかったが、大きなダメージを与えた。その後も連打を打ち込むと、青コーナーに戻ったカジェロスが棄権を申し出て試合は終わった。

 ジャッジ2人がフルマークをつけていた展開も「次の回できれいに倒すつもりだった」と山中竜はやや不満顔。それでも「長谷川さんに少しでも近づけるように、この階級で防衛を続けていきたい」と、真正ジムを選ぶ理由にもなった先輩、元3階級制覇王者の長谷川穂積氏(37)の名前を出した。

 長谷川氏はWBC世界バンタム級王座を連続10度防衛に成功。在位期間も約5年という長期政権だったが、同様のことを山中竜が成し遂げるのに必要なこととして「1とか2ラウンドとか。打たれたダメージを残さないためにも、早く終わる試合をやることが大事です」とアドバイスした。

 実際に長谷川氏はV6&7戦が2回、V8&9戦は1回にTKO勝利。3度防衛した2009年は年間のトータル試合時間が17分弱という“省エネ”ぶりだった。フルラウンド壮絶な殴り合いをするのとダメージの違いは明らかだ。

 山中竜は堅いガードで顔面の腫れはほとんどなかったが、長谷川氏の言葉を伝え聞くと「そうですよね。次、頑張ります」と納得の表情だった。指名試合が見込まれるV2戦は、長谷川氏の期待に応える早い回のKO勝利となるか。