WBO世界ミニマム級タイトルマッチ(18日、神戸ポートピアホテル)で、王者・山中竜也(22=真正)は同級4位の挑戦者モイセス・カジェロス(28=メキシコ)が8ラウンド終了後に棄権したためTKO勝ちを収め、初防衛に成功した。

 相手の心を折った。8ラウンド、山中竜は左右のコンビネーションで圧倒。さらには左フックでカジェロスをグラつかせた。ダウンを奪うには至らなかったが、ダメージを与えたのは明らか。その後も連打を打ち込むと、ラウンド終了後に青コーナーに戻ったカジェロスが棄権を申し出て、試合は終わった。

 山中竜は昨年8月、敵地・熊本で当時の王者だった福原辰弥(28=本田フィットネス)に3―0で判定勝ちして、ベルトを奪った。だが、その試合で左眼窩底を骨折。手術を経て今回、ようやく初防衛戦を迎えた。

 一方のカジェロスは昨年2月に福原と王座決定戦を戦い、1―2の判定負けでタイトルにあと一歩届かなかった。その悔しさを胸に約1年ぶりの来日。前日計量では、秤に乗る1時間前の時点で400グラムオーバーしており、周囲をヒヤヒヤさせたが、この日は時おり鋭い左を打ち込むなど調子は悪くなかった。

 それでも手数で上回った山中竜との差は明らか。中盤からコンビネーションと右で何度もグラつかせたダメージの蓄積で、最後は相手をギブアップさせた。

 タイトルを取るより難しいとも言われる初防衛戦。真正ジムではWBA世界スーパーバンタム級王者だった久保隼(27)が、昨年9月に実際にV1に失敗しているだけに「今までの試合で一番ホッとしてます」の言葉に実感がこもる。

 ダウンを奪えないままでの勝利に「納得いく内容じゃない」と反省の言葉もあったが、手元にベルトは残った。V2戦では成長した姿を見せたい。