【ボクシング】ネリ断罪!蛮行ボクサー取り締まる「ヤマナカ・ルール」確立へ

2018年03月03日 16時30分

体重オーバーのネリ(左)に厳罰が下る

“汚れたボクサー”を断罪へ――。日本ボクシングコミッション(JBC)は2日、WBC世界バンタム級タイトルマッチ(1日)で山中慎介(35=帝拳)に2回TKO勝ちしたルイス・ネリ(23=メキシコ)を1年間の「招聘禁止」とすることを決めた。前日計量で2・3キロも体重超過した事態を重く見たという。WBCも出場停止に加えてネリの世界ランキングを剥奪する方針。他団体も厳罰に同調する動きを見せている。

 1日の試合後、控室で引退を表明した山中は「ボクシング界全体でもっとしっかりしてほしい。(計量失格したボクサーへの罰則などを)厳しくしないとファンも納得しない」とボクシング界への“遺言”ともいえるメッセージを残した。

 この言葉に真っ先に反応したのはJBCだ。2日、ネリを1年間の「招聘禁止ボクサー」に決定。バンタム級転向を表明した現WBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥(24=大橋)によるリベンジが期待されていたが、ネリが少なくとも1年間は、日本のリングに立つ可能性は消えた。

“断罪”の流れは世界にも広がる。前日の試合の立会人を務めたデュアン・フォード氏は2日に「JBCは正しい判断をした」と日本の素早い反応を評価した上で「昨夜から何度も(WBCのマウリシオ)スライマン会長とも電話で話した。ネリは9か月のサスペンデッド(出場停止)。さらにランクからも外し、罰金を科すべきだとWBCに提出する報告書に記載する」と明言した。

 フォード氏は「個人的な見解」としながらも「体重を(リミットに)つくる気がなかったと思う」と指摘。“故意”の減量失敗で失格となったネリを「恥」と厳しい口調で糾弾した。最終的な処罰については、この報告をベースにWBCが後日決定することになるが、公式サイトにはすでにネリの無期限資格停止と聴聞会への出席を義務付ける方針が示されている。

 ボクシングの世界タイトルを統括する団体はWBCの他にWBA、IBF、WBOがある。ネリが他団体に“鞍替え”すると処分は適用されないが、フォード氏は「他団体に(出場停止の)処罰を求める権限はWBCにないが、理解はしてくれると思う」と、ボクシング界が一体となり厳罰を下すことを期待した。

 実際、1日に行われたIBF世界スーパーバンタム級王者、岩佐亮佑(28=セレス)のV1戦で立会人を務めたベンジャミン・ケイルティー氏は2日、私見としながらも「IBFもネリを(世界)ランクに入れないと思う」と話し、WBCに同調する考えを示した。

 世界ランキングがない相手に試合で勝ってもランクアップしないため、ネリに対戦オファーが届くことはほぼないという。もっともドーピング違反と計量失格の“問題児”が次に何をやらかすのか?とのリスクを背負ってマッチメークする可能性は低く、しばらくの間、ボクシング界から干されることになる。

 これまで“神の左”を武器に輝かしい実績を残した山中にとってネリとの2試合は不本意な結末だった。しかし試合後の訴えが世界を動かし、蛮行ボクサーを取り締まるきっかけとなれば、その功績は「ヤマナカ・ルール」としてボクシング史に刻まれることになるはずだ。