IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチが1日、両国国技館で行われ、王者・岩佐亮佑(28=セレス)は同級13位の挑戦者、エルネスト・サウロン(28=フィリピン)を3—0の判定で破って初防衛に成功した。

 岩佐は立ち上がり、左のショートパンチを有効に使って試合を支配する。その合間にストレートでダメージを与え、仕留めるのも時間の問題と思わせる展開だった。

 だが先月24日に来日後、公開練習を行わず手の内を明かさなかったサウロンを中盤以降は攻めあぐねる。

 一方的な展開にスキが生まれたのか、左の打ち終わりで顔面がガラ空きとなることも。終盤になると「倒すしかない」と開き直って前に出たところで、挑戦者の右を被弾するシーンもあった。

 岩佐は今回の試合に向け、先月26日の予備検診が終わると千葉県の自宅には戻らず、そのまま都内のホテルにチェックイン。試合まで本格的な練習は一切しない調整法を敢行した。

 これは2015年6月に、英国でIBF世界バンタム級暫定王座決定戦に出場した際に相手のリー・ハスキンス(34=英国)が行っていたのを参考にしたものだ。

 小林昭司会長(45)も同宿するが「必要なこと以外は一切連絡もしないで、気持ちの整理と集中をさせるようにしています」。

 ホテルでするのは散歩と半身浴などによる体重調整ぐらい。その他は「ネットで(趣味の)車の動画とか見て、至福の時間を過ごしています」と岩佐。ともすると“緩んでいる”ようにも見えるが「直前の3日ぐらい頑張ったって、何か変わるものでもない」(岩佐)と、それまでに積み上げた練習で培われた揺るぎない自信があるからできた調整法だった。

 だが練習してきたことを出し切れた、とはとても言えない内容に、試合後は「見ての通り、スーパーバンタム級で最弱の王者です」と自虐的に話した。

 王者になるより難しい、ともいわれる初防衛をクリアし「最低限(の目標だった)勝つということはできたけど、僕も会長も求めているものはもっと高いところにある」と岩佐。ジャッジの一人はフルマークをつけたものの、会場を沸かせるには程遠かった。次は真価を問われる戦いになる。