WBC世界バンタム級タイトルマッチ(3月1日、両国国技館)で前王者で同級1位の山中慎介(35=帝拳)と対戦する現王者のルイス・ネリ(23=メキシコ)陣営が“物言い”をつけた。

 27日、都内のホテルで行われた調印式の席で、メキシコ製のグローブをチェックしていたネリ陣営のギジェルモ・ブリート・プロモーター(54)が突然、こう要求した。

「試合では日本製のグローブを使うようにしてくれ」

 今回の試合のグローブ選択権は王者のネリ側にある。そのため自国メキシコ製を選択するだろうと予測した山中陣営はレイジェス社製を調達して練習するなどしてきたが「前回の(TKO勝ちした)対戦で使った日本のウイニング社製の質が良かったので、それを使いたい」と言い出してきたのだ。

 この日用意されていたグローブにはスポンサーロゴなどがプリントされていたため、急きょ同様のプリントがされたモノを製作し、28日の前日計量後に改めて試合用のグローブを両陣営で確認するという、思わぬドタバタ劇になった。

 もっとも山中にすれば、世界戦通算13勝を含むキャリアの全試合で使って慣れ親しんだグローブを使えるメリットがある。

 会見のひな壇では「ネリの前にベルトがあって自分の前にないのは嫌な気持ち。これで『取り返す』という思いが強くなった」と闘争モードに入りつつある様子。

 前回はドーピング騒動を起こし、今回は昨年末に誕生した愛娘をメキシコに残し、愛人を同伴した王者を、神の左で黙らせる。