ボクシングの前WBC世界バンタム級王者で同級1位の山中慎介(35=帝拳)が20日、東京・北区の帝拳ジムで、昨年8月にベルトを奪われた現王者ルイス・ネリ(23=メキシコ)とのリターンマッチ(3月1日、両国国技館)に向けた公開練習を行った。

 試合9日前で疲労はピークに達する時期だったが、「それにしては動けているので、予定通りの調整ができてると思います」と話す表情は明るい。

 練習後に5分ほど座って話し、立ち上がるとお尻の下には直径50センチほどの水たまり状態になるほどの汗。「今は90%ぐらいで、当日までにまた上がって、100%の状態でリングに上がれると思う」と話す通り、順調な調整ができているようだ。

 山中といえば「神の左」の異名を取る左ストレートが代名詞。その必殺の一撃に磨きをかけることはもちろん「これまでの世界戦、いいところを伸ばそうと思ってやってきたけど、今回は反省材料を克服することをやってきた」(浜田剛史代表)と、最後は防戦一方でTKO負けとなった前回の反省を踏まえて練習を重ねてきたという。

 昨年8月、元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏(62)の持つ世界王座連続日本記録(13)に並ぶことがかかった試合で、衝撃のTKO負け。その相手とのリターンマッチとあってチケットは完売となり、当日券の販売も行われない。

「原因は何にしても、注目されるのはうれしい。厳しい試合になると思うけど、笑ってリングを下りたい」という山中の言葉が現実となることを、日本中が願っている。