村田諒太 ボクシング五輪除外危機で緊急提言

2018年02月07日 11時00分

沖縄・国頭村で走り込む村田

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(64)が2020年東京五輪の実施競技からボクシングを除外する可能性があると発言し、波紋を呼んでいる。統括団体のガバナンス(組織統治)や審判の判定の問題など混乱が続く五輪ボクシングに厳しい姿勢で臨む方針だが、これに対して12年ロンドン五輪金メダリストでWBA世界ミドル級王者の村田諒太(32=帝拳)が緊急提言。五輪競技として存続するには、第三者機関による浄化が必要だと言い切った。

 バッハ会長は4日のIOC理事会(韓国・平昌)終了後の会見で、ボクシング除外の可能性について言及した。同日夜、沖縄で行われたWBC世界フライ級王者・比嘉大吾(22=白井・具志堅)のV2戦のテレビ中継でゲスト解説を務めた村田は「そう(除外に)なったら非常に残念。ボクシングは古代オリンピックからある競技だから、なくなったら寂しいです」と語るにとどめていた。

 一夜明けた5日、本紙が改めてバッハ会長発言について聞くと「内々でやっているから、こういうことになるんです」と言葉に力を込めた。

 IOCが問題視しているのは、国際ボクシング協会(AIBA)が昨年11月に規約違反で辞任した前会長に代わる会長代行に、米財務省から「犯罪者」と名指しされている人物を選出したことと、2年前のリオ五輪で八百長や買収が疑われる不可解な判定が続出したことだ。

 あまりに続く不祥事。五輪競技として存続するためにはIOCの疑念を払拭する必要があるが、どうすればいいのか。村田は「第三者委員会とかに入ってもらって“うみ”を出して『こういうしっかりしたことをやっている』と証明してもらわないとダメでしょう」と提案する。もはや内部で正論を唱えても、それをくみ取って自浄できる状態ではないという。

 外部の人間が組織を立て直した例としては、国内リーグが分裂して資格を停止されて五輪出場ピンチとなったバスケットボールが、サッカーでJリーグ初代チェアマン、日本サッカー協会キャプテンなどを歴任した川淵三郎氏(81)を会長に招聘したことが記憶に新しい。そうした外部の力を借りて、組織の健全化を証明する必要があるということだ。

 さらに村田は、2013年にレスリングが五輪競技からの除外危機で大騒動となったことを例に挙げ「あの時、福田(富昭日本レスリング協会)会長たちが(五輪競技存続へ)頑張ったようにボクシングもロビー活動しないと」とも話す。

 また、アマチュアボクシング界トップの混迷には「僕が金メダルを取ったことも台なしにされている。あの後『金メダル目指して頑張ろう』という選手は出てきていないじゃないですか」と憤った。

 この日は初防衛戦(4月15日、横浜アリーナ)に向けて沖縄・国頭村で行っている第2次キャンプを報道陣に公開。全長2キロ超の坂道をひたすら上るメニューでは、タイムを先月の1次キャンプよりも約15秒も縮める進化を見せた。

 村田は「スポーツとしてのボクシングがなくなることはないだろうから、今回のことは組織の問題」。五輪とプロの両方で頂点に立った日本唯一の男は、アマチュアボクシング界の“進化”を切に願っている。