IBF世界ミニマム級タイトルマッチ(31日、東京・大田区総合体育館)は、王者・京口紘人(24=ワタナベ)が同級3位カルロス・ブイトラゴ(26=ニカラグア)を8ラウンド2分28秒、TKOで下して初防衛に成功した。

 8ラウンド終盤、もはやサンドバッグ状態になったブイトラゴを見かねたレフェリーが試合を止めた。

 京口の圧勝は疑いのないところだったが、ダウンは一度もなし。開始早々から左フックやワンツーを何度もヒットさせ、その瞬間は倒せそうに見えながら、倒せない。

 最初のうちは有効打に沸いた観客の声援も徐々に小さくなり、右の連打でレフェリーストップとなった瞬間も消化不良といったムードが漂う。

「年末の5試合で一番目立ちたい」と宣言していたにしては、もの足りない内容で「最後は4つ、5つ(連打でTKOして)自分を評価できる内容だと思います」とリング上で話した時も、万雷の拍手とはならなかった。

 京口のボクシングの原点は「浪速のジョー」こと辰吉丈一郎(47)にある。

 小学6年で門を叩いた大阪帝拳ジムに所属していた辰吉にかわいがられ「俺のことは『ジョーちゃん』と呼べ」と言われながら、2年間毎日のように指導を受けた。

 同じように指導を受けたボクサーは何人かいたが、その中で京口が初めて世界戦のリングに立つことに。7月、プロ8戦目で王者となったのは、辰吉と同じだった。

 その辰吉が達成できなかった初防衛には成功したものの、ファンを沸かせるボクシングという意味では、まだまだ足元にも及ばないことは否めない。

「来年はもっとビッグマッチをしていきたい」との夢を実現するためにはさならるアピールが必要だ。