WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ(30日、横浜文化体育館)は、王者・井上尚弥(24=大橋)が同級6位の挑戦者ヨアン・ボワイヨ(29=フランス)を3回1分40秒TKOで下し、7度目の防衛に成功。Sフライ級での“卒業マッチ”を圧勝で終え、来年は3階級制覇を目指す。

 挑戦者の実力はわずか1分ほどで見切った。1ラウンドの序盤、ジャブとは思えない威力の左でボワイヨをグラつかせると、続けざまに豪快な左のオーバーハンドでダウンを奪う。

 2ラウンドの動きはおとなしかったものの、パンチを出したのは、ほぼ井上だけ。その様子はまるで軽くサンドバッグを叩いているかのようだった。

 そして「自信を持っている」左のボディーをめり込ませると、ボワイヨは時間差でリングにひざまずいた。ここは立ち上がったものの、さらに左ボディー2連発で2度目のダウン。最後は左をヒットさせたところで、レフェリーがカウントせずにTKOを宣告した。

 豪快なKO劇にも試合後のリング上では「全然もの足りない」と話した。そのSフライ級はこの試合で卒業する。来年はバンタム級に転向することを明言した上で「WBO王者は(ゾラニ)テテ。WBCは山中さん(慎介=帝拳、前王者)がまた試合をやるから、いろいろと選択肢が増える」と口にした。

 さらには「米国や英国。敵地に乗り込んでやりたい」と話す井上の2018年が今から楽しみだ。

 井上尚弥の話「予定通りの試合だった。最初は相手との距離感をつかもうとアップライトに構えたり、かがんだりしたけど、1ラウンドいらなかった。受けてくれた相手に失礼な言い方になってしまうかもしれないけど、もっとピリピリする相手と試合をしたい。喜べないというか、こんなところではしゃいでいるようじゃ、先は見えない。バンタム級に行けば先はあると思う。Sフライ級でいいキャリアを積めたのを今後に生かしたい」