WBA世界ミドル級1位の村田諒太(31=帝拳)が12日、都内のジムで同級タイトルマッチ(22日、東京・両国国技館)に向けた公開練習を行った。

 2ラウンドのスパーリングを始めた村田はすぐに打ち合いをやめると、トレーナーを通じてパートナーに「マスじゃなくていいよ」と言った。「マス」とは本気で打ち合うのではなく“寸止め”のような形でやる軽めのスパーリングのことだ。村田がスパーリングをするのは基本的に月・水・金曜日。この日は木曜日とあって「マスぐらいだろう」と思い込んでいたパートナーに、本気で打ってくるように要請したわけだ。

「マスしかしなかったら、皆さんが書くことないでしょう?」

 集まった100人以上の報道陣にジョークを飛ばした村田は「これまでいい時も悪い時もあったけど『今は試合が楽しみ』と言えるほどになった」とコメント。マスではなくスパーリングを“解禁”したのは、体の動きも軽快になった仕上がりの良さを披露したかったという狙いもある。

 試合は5月の王座決定戦で敗れたアッサン・エンダム(33=フランス)とのリターンマッチ。4ラウンドにダウンを奪いながらも判定負けした前回の雪辱を果たせるかどうかは「右をしっかり打ち込めるか」にかかっているという。その言葉通り、村田はこの日も伸びのある右ストレートを的確にパートナーに打ち込んだ。