【ボクシング】村田 ゴルフから得た新パンチのヒント

2017年09月26日 16時30分

村田(右)はそのパンチにわずかな“緩み”が出ていたという

 WBA世界ミドル級1位の村田諒太(31=帝拳)が王者アッサン・エンダム(33=フランス)に挑戦する同級タイトルマッチ(10月22日、東京・両国国技館)に向けた9ラウンドのスパーリングを25日、報道陣に公開した。5月の王座決定戦では不可解な判定で敗戦。“世紀の再戦”まで残り1か月を切った中、村田は時折、伸びのあるストレートを披露した。“緩み”を解消したパンチには、ゴルフから得たヒントがあった。

 この日のスパーリングで村田がテーマに掲げたのは「力感」だった。「よく『力まないように』と言うけど、リラックスするだけがいいことじゃない。力を抜くと“緩んで”しまうことがある。その状態でパンチを打とうとしても、体が先に出ていってしまうんです」(村田)

 野球でいう「振り遅れ」の状態になることで、パンチが出るのが一瞬遅れてしまうため「その状態で相打ちになったら、確実に僕が打たれてしまいます」と村田は説明した。先週後半のスパーリングでは、調子が悪い時にこの“緩み”を感じることがあったという。それを23日のフィジカルトレーニングの際に中村正彦トレーナー(43)に打ち明けたところ「緩みすぎるのは良くない」と指摘された。

 ゴルフのトップアマも指導する同トレーナーは緩まず、かつ無駄な力みのない打ち方の加減を村田に教えた。村田によれば「ゴルフでは『感じを残す』と言うらしいですけど、それを教えてもらいました」。

 実は、“緩み”はかつての経験からきたものでもある。千葉県のゴルフ場で走り込みキャンプを行うことの多い村田は、3年前にゴルフを初体験。だが練習場での人生初スイングは空振りだった。さらには手にマメができるほど力んだスイングでのショットで右に、左に…飛び散ってばかりだった。それでもさすがの運動神経で、翌日にはナイスショットが出るように。そのコツを「何も考えないで力を抜いて振ると、ビックリするぐらい遠くまで真っすぐ飛ぶもんなんですね」と語り、これをKOを狙うパンチにも応用させていたが、それがいつの間にか“緩み”にもつながるケースがあったのだ。

 もちろんほんのわずかの差なのだろうが、世界最高レベルの打ち合いではその差でどちらがダウンするかの分かれ目となる。そのためにいろいろな試みをしながら、直前までレベルアップを続けていく。この日のストレートにも伸びがあり、確実に“進化”はあった。

 この日は安倍晋三首相(63)が28日に衆議院を解散することを表明。村田の再戦と同日に衆院選の投開票が行われる。それでも「我々は決まった試合をやるだけ」(ジム関係者)と、その視線の先にはあるのは世界王座だけ。日本中の期待を背負ってリベンジを果たし、ボクシング界に“村田政権”を築くつもりだ。