【カリフォルニア州カーソン9日(日本時間10日)発】WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ(スタブハブ・センター)で、王者・井上尚弥(24=大橋)が同級7位のアントニオ・ニエベス(30=米国)を6ラウンド終了TKOで破り、6度目の防衛に成功した。

 5ラウンド、井上の左ボディーを被弾したニエベスは力なくリングに崩れ落ちた。

 2014年12月に、オマール・ナルバエス(42=アルゼンチン)を倒して現王座を奪取。世界に衝撃を与えて2階級制覇を達成した時をほうふつとさせるボディーは、ニエベスから戦闘能力を奪い去った。

 続く6ラウンドは下がる一方になった挑戦者に対して井上は両手を上げ、さらには両手をダラリと下げて前に出てくるよう挑発する。

 それでも出てこず、ガードの隙間からボディーやフックを当てられ続けたニエベス陣営は勝ち目がないと判断。このラウンドが終わったところでレフェリーに棄権を申し出て、井上のTKO勝ちとなった。

「初回からフルでいく」と話していた井上は、その言葉通り試合開始とともにエンジン全開。左を確実に当て続けた。

 だが2ラウンドにはハプニングも。終了10秒前の拍子木の音を、なぜか終了のゴングと勘違い。ニエベスに完全に背を向けてコーナーに戻ろうとしてしまう。

 直前にダウン寸前まで追い詰めていたため、相手は腰が引けた状態だったのでよかったが、戦意に満ちた状態だったら不意打ちを食らいかねなかった。

 初体験の米国での試合は、これまた初体験の屋外のリング。こうした状況から音がいつもと違う聞こえ方をしたのかもしれないが、これも今後への貴重な経験になる。

 日本の「怪物」が名刺代わりの圧勝を収めて、本場のボクシング界に確実な一歩を記した。