【ボクシング】進退保留も…山中に“引退証言”

2017年08月17日 16時30分

会見する山中

 WBC世界バンタム級タイトルマッチ(15日、島津アリーナ京都)でルイス・ネリ(22=メキシコ)に4回TKO負けして13度目の防衛に失敗した山中慎介(34=帝拳)が16日、京都市内で一夜明け会見を行った。今後については態度を保留。ネリとの再戦で初の海外進出の可能性も浮上したが、現時点ではこのまま引退となりそうなムードだ。

 2011年11月に王者になってから6年弱。こうした場には当たり前のように置かれていたWBCの緑のベルトはなかった。「こういった会見でベルトがないのは違和感。前チャンピオンになったんだな、と…」(山中)

 勝っていれば元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高氏(62)が持つ最多防衛記録「13」に並んでいた。その快挙を逃したことだけではなく、自身の肩書が「前王者」となってしまった現実を突き付けられた。

 試合に負けたボクサーは「一夜明け会見」など取材対応をしないことがほとんど。それが会見が設定されたため、今後について何らかの発表があるかと思われたが、山中は「進退については、もう少し考えさせてください。何か月も(結論を)引っ張ることはないけど、非常に大事なことなので、落ち着いて決めたい」と話すにとどまった。

 現役続行を選んだ場合は「もちろん考えるのはネリ」との再戦だ。帝拳ジムの本田明彦会長(69)も「やるなら間を挟まずにネリとのリマッチ。それしかない」と話す。さらに本田会長は「条件によっては(ネリの母国の)メキシコに行ったっていい」とも。リターンマッチに向けて条件交渉がまとまらずに長引き、それによって再起を決意した山中のモチベーションに影響を及ぼすぐらいなら、敵地に赴くことも辞さないというわけだ。

 具志堅氏のV13が迫ってきた近年は口にすることはなくなったが、以前の山中は海外進出への夢を語ったこともたびたびあった。それが思わぬ形で実現するならそれも本望かと思いきや…山中に近い関係者は「引退する可能性が高いと思う」と明かした。

 理由はいくつかある。前夜のTKO負けは4回にロープに詰められてメッタ打ちされた際に、大和心トレーナー(42)がリング内に入って試合を止めた。山中は「まだいけると思っていた」と未練を語る一方で「最近は(ダウンを奪われる)危なっかしい試合をしたり、昨日も足が止まったり、ガードが甘かったのがあったのかなというのはある」と自身の“現状”を語る。

 さらには、過去を見ても再戦での“リベンジ率”は高くない。山中自身、強敵アンセルモ・モレノ(32=パナマ)に連勝。V9戦では苦戦の判定勝利だったのを、V11戦ではTKO勝ちで返り討ちにした。記憶に新しいところでは前WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志氏(37)が、ジェスレル・コラレス(26=パナマ)に王座を奪われ、リマッチでも連敗して引退に追い込まれた。元3階級制覇王者の長谷川穂積氏(36)も、ウィラポン・ナコンルアンプロモーション氏(48=タイ)にWBCバンタム級王座を奪取した試合とV2戦に連勝。そのウィラポン氏は辰吉丈一郎(47)からベルトを奪った試合と再戦にいずれもKO勝ちしている。こうしたことから、初戦で敗れた選手が再戦で勝つ確率は低いと言わざるを得ない。

「納得いく勝ち方であれば、それで(引退しても)いいのかな」という気持ちで臨んだ一戦は、思わぬ形での幕引きとなり「逆にこういう内容だったので、悩んでいるところ」と山中は話す。

 自身の現状とリベンジ率の低さを踏まえて、どんな決断を下すのか。現時点では“神の左”はリングから遠くなっているようだが…。