“ボンバーレフト”の今後は――。15日(日本時間16日)にカリフォルニア州イングルウッドで行われたWBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチで、同級1位の三浦隆司(33=帝拳)は王者のミゲル・ベルチェルト(25=メキシコ)に0―3で判定負けして王座返り咲きはならなかった。

 試合は1回にいきなり三浦がダウン。ダメージを負うような倒れ方ではなかったが、この後は足を使うベルチェルトに対して有効打を当てられず。世界戦で初めてダウンを奪えず、大差の判定結果に三浦は「完封された」。持ち味の左は「ボディーが効いたのが1発か2発あった」ものの、多くは空を切り続けた。試合前に「三浦の場合は左を振ったところに相手の顔面があれば倒すし、なければ倒せない」と話す関係者がいた。その悪いほうの予想が見事に的中してしまった格好だ。

 スタイルを徹底的に研究されていたが、それでも渾身の力を込めて左を繰り出し続けた。会場のザ・フォーラムは「メキシコ人ボクサーの聖地」とも呼ばれ、試合中は何度もベルチェルトを応援する「メヒコ」コールが起きた。そんな状況でも三浦が「ダメージを与えてやろうと思って」と愚直なばかりに左を打つと大歓声が上がった。「あれはうれしかった」と素直に喜んだが、実際に拳一つで完全アウェーの雰囲気を一変させるボクサーはそういない。

 ロサンゼルス国際空港では、三浦の試合関連で入国した日本人に対して入国審査官が「あいつのボクシングは好きなんだよ」と声をかけることもあるぐらい、米国での人気は浸透。試合後「今後のことは今は何も考えられない」と話した三浦は「完封されて、気持ちをどう持っていくか」と気になる言葉も発した。

 去就を判断するのは本人だが、その人気と愚直なボクシングスタイルは本場米国でも認められている。敗れたものの、存在感を示した試合となった。