【ボクシング】山中 金字塔V13へ究極奥義“触るだけの右ジャブ”

2017年07月05日 16時30分

スパーでは軽く右のジャブを見せた山中(右)

 WBC世界バンタム級王者の山中慎介(34=帝拳)が4日、V13戦(8月15日、島津アリーナ京都)に向けたスパーリングを開始した。勝てば元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏(62)の連続防衛国内記録に並ぶ大一番。いつも以上の注目を集めるだけに緊張感も高まるが、今回掲げたテーマは「触るだけのジャブ」。その真意はどこにあるのか。

 

 フィリピン人パートナーとの4ラウンドのスパーリングでは時折、鋭い左を打ち込むシーンもあり「いい初日だったと思う」と山中は笑顔で練習を終えた。

 

 この日、最も意識していたのは「右のジャブを触るだけのつもりで打つこと」。王者の代名詞といえば、KOを量産している左のストレートだけに、何とも力強さに欠けるテーマなのは否めない。

 

 だが、豪打の山中とはいえ、仕留められるチャンスはそう多くない。そこで、ボクシング界には「左は世界を制す」(右構えの選手の場合。山中だと右)という格言もあるように、ジャブでいかに防御を崩し、相手にダメージを蓄積させられるかが重要になる。

 

 そのジャブが「触るだけ」とはどういうことか。その疑問に対して山中は「打ちに行くイメージだと体が流れてしまうことがある。そうするとカウンターをもらいやすくなる。だから半歩遠くして、触るだけの感じぐらいでいいんです」と説明する。

 

 昨年9月のV11戦ではアンセルモ・モレノ(32=パナマ)にダウンを奪われた。今年3月のV12戦は5度のダウンを奪う圧勝だったが、右を打ち込まれる場面もあり試合後は「良さも悪さも出た試合」と反省の言葉を口にした。

 

 今回戦うルイス・ネリ(22=メキシコ)はランク1位で23戦全勝(17KO)の戦績を誇る強敵。具志堅氏の記録に37年ぶりに並ぶチャンスとなれば、確実に勝てそうな相手を選ぶのもやり方の一つだが“ガチ路線”の山中本人にも、帝拳ジムにもその選択肢はない。とはいえ、ネリのカウンターを浴びれば、記録どころかすべてを失うことにもなりかねない。

 

 そこで、リスクはすべて排除する作戦。もちろん「触るだけ」のジャブといっても「パンチが伸びるようになった」と自負する山中の「右」でも相手にとっては脅威。必殺の「神の左」で仕留める青写真はでき上がりつつある。