死角はないのか。WBC世界バンタム級王者・山中慎介(34=帝拳)が7日、KO勝ちによる日本男子最多タイの13度目の防衛を誓った。

 同級1位で23戦全勝(17KO)の強敵ルイス・ネリ(22=メキシコ)とのV13戦は8月15日、島津アリーナ京都で行われることが決定。都内で会見した山中は「最強の挑戦者」と認めつつも防衛に自信を示した。

 必殺の「神の左」は「どこかのタイミングで当たる。思い切り打ち抜くだけです」。真夏の京都決戦に「お客さんも暑い。12ラウンドも見てられない」とKO決着を予告した。V13の日本記録を持つ元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏(61)からは「記録を意識したほうがいい。そしたら強い精神力もついてくる」とビデオで激励され背筋を伸ばした。

 とはいえ、ネリは帝拳ジムの浜田剛史代表(56)が山中の快挙達成を見据えて選んだ「具志堅さんに失礼のない相手」。厳しい試合になることは間違いない。特に警戒するのは“加速する拳”だ。「スピード感はないのに連打すると2、3、4と加速する」(浜田氏)。段階的にスピードアップするパンチは大きな脅威。山中も「絶対、足は止めない。止めてもすぐ動くことをしなければ連打に巻き込まれる」と要注意マークをつけた。

 一方、浜田氏は山中の自信の根拠も解説。ガードをやや下げるネリのスタイルを「自分が打ち込みやすい状況をつくっている」と分析し「攻撃型だから逃げる選手じゃない。(逆に)当てにくくはない」と話した。アグレッシブな姿勢を貫けば隙が生まれ、勝機があるという。王者は気を引き締めて対策を練っていく。