WBC世界フライ級タイトルマッチ(20日、東京・有明コロシアム)は、同級1位・比嘉大吾(21=白井・具志堅)が前王者ファン・エルナンデス(30=メキシコ)に6回2分58秒、TKО勝ち。日本人初のデビューから全てKО勝ちで世界王者となった。

 エルナンデスは前日計量で、体重超過で失格の大失態を犯した。これで王座剥奪となったため、比嘉が勝てば新王者となり、エルナンデスが勝つか引き分けで王座が空位となる。

 デビューから12連勝で世界戦にこぎつけた具志堅用高会長(61)期待の逸材は、具志堅会長の現役時代のテーマ曲に乗って入場。2回にいきなり強烈なアッパーでダウンを奪い、絶好のスタートだ。

 4回終了後の公開採点ではなぜかエルナンデスがリードしていたが、5回の序盤にも左フックで前王者を再びダウンさせた。6回も右アッパーでダウンを奪った比嘉は、力強いパンチでさらにダウンを立て続けに奪い、この回4度目のダウンでレフェリーが試合を止めた。

 沖縄出身の比嘉にとって、WBА世界ライトフライ級王者だった具志堅会長は郷土の英雄だ。「最高です。会長、トレーナー、ジムの全員に支えられて取れた」と笑顔。エルナンデスは減量に失敗したが、自身も減量に苦しんだといい「1週間前にはパニック障害を起こした」とも明かした。

 具志堅会長も愛弟子の活躍にリング上で号泣。「比嘉大吾を褒めてください。心配してたけれど、信用していた。世界王者になると約束していたので」と褒めちぎった。

 驚異的な強さを見せつける新王者は、今後の日本ボクシング界を引っ張っていくことになりそうだ。